★★★。しかしまあ部下を育成するという気持ちには1ミリもなれないよな。部下のほうが明らかに自分よりは優秀なので、なにか教えられることがあるとも思えない。面で育成する、孤独にならない、ふだんの仕事を整理する・ふり返る・棚卸しする。断片化を避けるため、似た仕事をまとめる。やることリストじゃなくてマイルストーン。率先垂範・言行一致。

異世界語入門 ~転生したけど日本語が通じなかった~

異世界語入門 ~転生したけど日本語が通じなかった~

★★★★! 人工言語という深淵があるらしいのだと聞いてちまちま調べていたのだが、日本における有名どころのひとつは人工言語アルカというものらしいよ。紹介動画を見るに、どうも自然と創作に連続していそうに思える。この世界の死神は偶然われわれの世界と同じく鎌がモチーフなそうですが。とまれこの本は人工言語のひとつであるリパライン語の話される異世界に転生させられた主人公が現地語で現地語を学ぶ過程を描いたものである。ブートストラップしてるわけ。小説としてはまあ……なんだけど謎解きの様相でありとても面白い。「何」を引き出そうとする過程や辞書の解析など盛り上がるが、言語界隈? では割とポピュラーな話題っぽい。何かで前にみた言語学オリンピックだかに感じた面白さがここにある。終わりに近づくにつれて、主人公ほどではないにしろ現地語が読める! ように感じるのもスゴイ。総じてとにかく楽しそう。いせにほ資料集積所も参照。

Rhyme's Reason: A Guide to English Verse, Fourth Edition

Rhyme's Reason: A Guide to English Verse, Fourth Edition

★★★。

Twinkie twinkle little ____

How I wonder what you are

きらきら星の英語歌詞。この空欄に入るのが star なのか stars なのかってのは文法的には決まらないけど、韻のことを知っていれば star しかないなって分かる。これって言わば教養だよね〜となぜか自慢げなおれだが、体系的には知らんなということで英詩を味わう―韻律美の構造 (英文学教材)を途中まで読んでみたのだけど、なんか分かるようなわからんような、というか観賞の本なんだよね。参考にあげられていた? この本を読んでみた。

面白いのは実例として挙げられる詩が本文の一部になっていて、詩それ自身が誌の解説になっているという妙な凝りっぷり。詩は韻のみで構成されるわけではなく(当然だが)、meter(韻律、リズムや拍?)とアクセントが主要な要素になる。この時点でかなり難しくて、なぜならテキストを読んでもリアルな発音がさっぱりわからないからである。そもそも詩というのは書かれるものではなく、声に出して読まれることに焦点があるわけで。ちなみに日本の詩は、俳句などを見ればわかるように韻律のみが主でアクセントは前面に出てこない。

結局『きらきら星』は、trochaic tetrameter (couplet) と言える構造を持っていそう……ということまで分かったかな。韻よりもアクセントのほうが余程大事に見えた。あと翻訳ものでたまに日本語訳された詩が挟まることがあるが、その裏側を伺い知ることもできたのかもしれない。

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

★★★★。創元のツイッターアカウントがやたらと推してくるなあというのを感じながら、やがて熱が高まったので買う。買ってから調べてみたら日本でももろもろのランキング二位を総なめしていたのね。そして確かに面白かった。妻に浮気をされた男が空港で出会った行きずりの女と殺人計画を立てる……という導入なのだが、それがすんなりと行くわけではなく、4人のストーリーはやがて1人と1人の対決の様相をあらわし、それからそれから。最後の最後まで面白かった。こういうのは久々。

百万畳ラビリンス  上巻 (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス 上巻 (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス  下巻 (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス 下巻 (ヤングキングコミックス)

★★★。ランダムにdevelopしたらしい家屋の、バグステージめいたダンジョンをゲームデバッガのバイトをしている二人が探検する。SF。無限増殖バグのようなものを活かして突破していくさまは面白かった。が、それ以外の、異常な空間の雰囲気とか、謎解きとかハックとかはもっと欲しかった。

その後も『ワールドトリガー』をちまちま読んでいて、たしかに面白くなってきた。明らかに読むスピードが上がってきた。ガロプラ侵攻あたり。このあたりまで来ると、その前のランク戦でBランクが十分強いやつらだってわかってるから、Aランク組がハチャメチャに強いやつらなんだなってわかるし。頭の中にすごいランキングみたいなのが出来上がってきているので、ガロプラ前の作戦会議シーンなんかは、おおっ。となるよね。噛ませやインフレがあっての強いやつ、じゃなくて、「ちゃんと」強いのだ、ということがわかっているので楽しい。かわいいと思うのは熊谷です。

こないだの安売りのときにワールドトリガー一気買いしたのを、夜毎数話ずつ読み進めるのがいまの楽しみ。昔はそれぞれの場所で登場人物たちがそれぞれのスキットを進めているのが好きだった(友人宅で読んだワンピースとか)ものだけど、ワクワクする感じが減じているのは、何でか高尚であろうとして自分の感情に蓋をしてきた結果だろう。作者の頭の中にそれぞれのキャラクターが別個に存在していて、読んでて楽しいのは間違いないけど。

ジュラシック佐賀

盆なので相当の久しぶりにプールに行った。流れるプールというやつでやるのは、キングゲイナー1話か2話の、フォトンマットに重心をあずけつつ足を先にして浮かんで進むあの動きだ。めっちゃ沈んだけど。鼻からスムーズに口へと水が流れこむ。

ソシュールのすべて―言語学でいちばん大切なこと

ソシュールのすべて―言語学でいちばん大切なこと

★★★★。すげー前に読みさしで措いてたのを掘り返した。ちょうどよい内容、と感じてしまうのであまり新しい知識は得られなかったと思うべきか。しかしソシュールについてなんとなく聞き及んでいたことがそうであると確認できた気はする。結局おれは、単語または意味というものが、他の単語との関係において相対的にしか決まらないのだということを確認したかったのだと思う。この本について言えば、言葉が冗長とは思わないが端的でもないと感じて、よりよい入門というか俯瞰的な本はまだあるはずという気分になる。ソシュール、カント、あと数人、がおれの思考を後ろ立ててくれるような気がする。それは科学史の文脈から求めるべきかも。