なめらかな世界と、その敵

なめらかな世界と、その敵

★★★。なんか綺麗な文章だなと思った。『最後にして最初のアイドル』と較べてしまうが、年季が違うか。綺麗だからといって、とても感じ入るという訳でもないのだけれど。批評者のバックグラウンドっぽく、ほかのSF作品への目配せが多い印象で、名前を挙げられれば分かるんだけど、それ以上になるとわからん。ガジェガジェしたSFは、ありそうな近未来という感じで、読んでて楽しいなあー。クライマックスの高揚感は今ひとつ。『シンギュラリティ・ソビエト』は、ここで終わんの? となっちゃった。『ひかりより速く、ゆるやかに』は遠未来描写が『エンジン・サマー』ぽくて好きだったのでもっと読みたかったな。とまあ最後のほうだけ覚えてますが。

ボールペンを使い切った。だいたい使い切る前になくしたり壊したりしてるので、ここ十年くらいなかった快挙ではないだろうか。最近はコクヨ(でもなんでもいいのだけど)のA6ノートを鞄に入れていて、考え事をするときの友にしている。キーボード叩いてテキストファイルなりに書き出してもいいんだけど、発想とか、関係付けとか、そういう整理されてない頭の中に秩序を与える作業には、紙のほうがまだまだ強い。書いてると自分の字の汚さに愕然とするが、それ以上なんもできはしない。ボールペンはジェットストリーム3。3なんだよね。赤と青がめいっぱい残ってんだけど。これどうしよう。やっぱ替え芯あるのかな。使い切ったことないので知らないわけだ。ここから先は未体験ゾーン。この文章は3点です。

風邪ひいてた。今も体調万全ではないが、まあ治るだろ……という段階にある。なんで風邪引いたのかは明白で、月曜日を休みにした連休でデザインあ展へ出かけたこと、火曜日にリングフィットアドベンチャーで運動負荷を挙げてみたこと、寝るときにマスクをしなかったこと、水曜日の昼にタイ料理屋へ行ったらめちゃくちゃ辛かったこと、これらがドンドンドンと重なって今回の事態を招いたのである。あと仕事に行きたくなかったんだろうな。昨日は動かせない会議がほぼなかったので休んで寝てた。今日はやや心拍が高かった気はする。

嫌われる勇気

嫌われる勇気

★★★★。友人が最近読んだと言ってたので、そういえはおれも読んでみてもいいのだろうと思い、手に取る。NHKでもなんかやってたよね。それを少し覚えている。 課題の分離、という考え方はしっくりくるもので、つまりコントロールできるものだけをコントロールしようとし、そうでないものに思い悩むな、というメッセージ。他人が自分のことをどう思おうと、それは他者の課題。それをどうこうしようとするものではないのである。目的論は『なぜ人と組織は変われないのか』だっけ? の免疫マップと通じるところがある。つまるところ自分のものの見方・考え方を変えさえすれば世界の風景は変わる。キーワードは勇気というのも頷ける。そして有用に思う。しかし私憤と公憤を分けて考えるのは、あまり納得できないなあ。公憤も他者を自分の中に住まわせている・またはその逆なわけで、課題が分離できてないってことじゃない? 私的でない感情はないと思う。 おれは問題を自分に帰して落ち込んじゃうことが多いので、しかしここからもうワンアクション必要だ。それが貢献感なのかもしれないが、抽象的にはそうだろうとも、いまいまのおれをそれが救ってくれるわけでもないんだよなあ。セルフコンパッションというやつかも。 細かい部分、特に後半は即効性が低そうで流して読んだが、全体に役に立つ考え方だと思った。考えてみれば突飛でもない。自己責任のスパイラルに陥らないように、何をコントロールすべきかが問題だろう。

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

★★★。SFではあるが、むしろオタク文芸として読むのが正しいだろう。えっと、面白いです。アイドルとか声優とかソシャゲとかを、SFの言語で解体して、宇宙的な意味をそこに見出す。そういう趣向なので、少々グロテスクなほうに振ってあるのも理解はできる。解説を読んで知ったんだけど、表題作はもともとラブライブ! の同人小説だったそうで、そう思って読むと不思議な納得感がある。物理学的・生物学的・天文学的発想はバックグラウンドなしには展開しえないし、それはすごいと思うのだけど、みんな話が急展開したあげく、最後にまとめてこれはこういうことだったのだー、と解説が入っておわり、というのはもうちょっとバリエーションあってもよかったのじゃないかとは思う。なんかいろいろ書いてるっぽいので、たまに読みそう。

https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156669576523

本日はあまりに精神つらすぎると思って、今年に入ってからほとんど起動していなかったマンガのアプリを呼び起こす。『怪物少女は初恋の夢を見るか?』はどういう訳か、読んでると涙が出てくる。ただ疲れているだけって説も大いにある。どの登場人物もピュアに互いのことを思いやっていて、人が傷つくようなことは何もなくて、そしてただただ池田がかわいい。宇宙人なのにいいやつ。キャラがドヤ顔しがちで、そんなときアゴが前面に出がちである。そんな世界観のクセもいい。

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

★★★。探偵は依頼人を救うため、事件のミステリ的な解決を目指さず、それが奇蹟であることを示そうとする。推理対決では、敵役の提示した推理をこのセリフで否定するのだ。そういう役割の配置とか全体の流れは面白かったが、とにかく物語より先に作者のやりたかったことが伝わってくる。高校生のセックスなのだけど、セックスしてるほうが偉いのである。はぁこういうことね、と何か理解してしまおうとする自分が先に立って、共感とかはない。あっという間に謎のお膳立てが出来上がるところとか、キャラクターの味付けが異様に濃いばかりのところとか、とにかく謎解きが中心なのだから、ストーリーは機能的なものを添えておきました! という態度で潔い。続編にいつか出会ったら読みたくはある。

Twitterから久しぶりに通知があったので、なんだなんだ、と探ってみたらアイドルマスターの新しいコンシューマーゲームが出るのか!今年こそ真の誕生日を忘れそうだと思っているくらいに、分解されきってしまっていることを驚きもなく受け容れている。動画は全然見ないたちなのだけど、久しぶりに疲れはてていて家でビールなど飲んでたので、つい見たわけだ。

https://starlit-season.idolmaster.jp/

いやまあ、純粋にいいですね、と思うよ。見てくれがすげー良くなってるのを感じる。それは素晴らしいことです。技術の勝利。たぶん髪型変えたり、ポーズを取らせたり、いろんなことができるんだろうな〜。そういうの含めてキャラゲーでしょう、という予想はいつもの通りで、これをおれは楽しめるけど、ロートルがそうしてる姿は愉快だろう。アーケードではない以上みんな一緒で、コミュニケーションはあっても、破壊と再会の物語はない。みんなわかってて、おれの全部はそれに依拠してる。かろうじて優位を保てている気がしてる。そればっかり。そればっかりの貧困。真の新しいフィギュアが出るチャンスなので、そこは純粋に期待。けどお前たちの物語はおれのそれとは違うんだよ。

Bird by Bird: Some Instructions on Writing and Life (English Edition)

Bird by Bird: Some Instructions on Writing and Life (English Edition)

  • 作者:Anne Lamott
  • 出版社/メーカー: Anchor
  • 発売日: 2007/12/18
  • メディア: Kindle

★★★★。はじめに何で見たのかわからないが、本や記事で何度か言及されているのを見かけたこともあり、きっと有名な本なのではないだろうか。前に購入して、読みさしにしていたのを改めて読み直す。著者は小説家として、物書きのクラスを持っている。そこで話している内容をまとめたのがこの本。テクニックや単なるハウツーでないことはわかっていたけど、思ったよりエッセイ感が強かった。英文だと読むスピードがめちゃくちゃ落ちるので、読んでるあいだにスタックが崩れ落ちて、あれ、いまなんの話だっけ? となってしまう。同じ理由で、さっと読み返して文脈を復元する、ということもできないから、カラー映像を白黒でなんとか観てやろうとしているような感じがある。

生徒には、あと読者にも、出版することに執着している人が多いようで、しかしそれは夢のような体験ではないよ、と著者は言う。むしろ書くことの喜びとは書くことの中にある。そして書くことだけで見えてくる何かがそこにある。書くことというのは、人生のためのことである。

うろ覚えだけど、書くことというのは夜道を車で走るようなもので、ヘッドライトはその先数メートルを照らすだけだけれど、やがては目的地に着くものだと。だからまずは、拙くても書く、それしかないようである。書くことによって発見するプロセスがあることはおれにも覚えがある。

本の中に ring true って言葉が繰り返し現れるように、物語は真実のことでなければならない。自分の中の抑制者、完璧主義や親の声を無視して、自らの痛みを書き出すことをしなくちゃあいけない。

あとで読み返しながら追記する。

謎のフィーバー状態で、20人近くとの面談を、続けざまにこなしている。何も手につかない。こんな感じで丸1日予定が埋まってるからね。この奔流の中で、それはそれで仕事してることは、もっと褒められてもいいはず。これも今日までがピークのことで、朝も必要以上にdesperateにはならず、ここまでやってこれた。偶然だけど、辛いのを最初に持ってこれたのがよかった。今週乗り切れば、あと辛いのは来週までである。今週じゃねえのかよという。

辛いときに擦りきれないようにするベストな方法は、寝る、なのだけど、加えて、何か自分の書いたものを読む、とか、何かあたらしく自分の為のものを書く、である。最近は去年の年頭に書いていたエロ小説をあらためて書き直している。これは一から十までおれの趣味が反映されることを許されている場であり、おれがまた読んだときに必ずや改めて喜びを得られるものであるはず。書かれたものというのはそういうもの。これは未来の疲れはてたおれのためのプレゼントでもある。

しかし去年のはあまりに性的に拙速すぎて、なんの情緒も感じられず、読むに耐えないものだった。実際読めてない。そこで今回はあらためて真実、人間のことを書く練習であり、それを書かせるためにエロを餌としているていで、今日もオナニーに勤しんでいる。