テーマパークとアイドル

夢の中でおれは3人のアイドルのプロデューサーだった。親戚家族と一緒にテーマパークに来ている。
お婆さんや兄弟を映画館に送ったあと、4階にあるという楽屋を探し始めた。「プロデューサー、終わったら楽屋に遊びに来てくださいね♪」と言われていたからだ。
映画館の左手の広い階段は伊達男に女たちが群がっている。それで右手にあったエレベータに乗った。乗ったら4階のボタンがなかった。仕方なく3階で降りると、そこはテーマパークとは思えない寂れっぷり。どうやら海賊船をイメージしたホテルらしいんだが、戸はガタガタだし廊下は傾いていて、人の気配もまったく感じられなかった。怖くなったので戻った。
映画館のそばの階段にはまだ人だかりがあったものの、そこしか通る道はなさそうだった。階段を登るとすんなりと4階に着いた。
4階は広かった。その上案内板もない。直感で右に曲り、土産屋を脇目に歩く。突き当たりは巨大な部屋で、巨大なテーブル、椅子、壁には巨大な絵がかかっていた。巨人の部屋、ファンタジーだ。新聞を片手に、中年の男がひとりいた。
「どうもここは案内がなくていけませんね」
「そうですね」
二人でその部屋を出た。それでは反対側に楽屋があるに違いない。男とは昇ってきた階段で別れた。家族とでも会うのだろう。案の定反対側の突き当たりにはベニヤ製のパネルとか、道具箱を持った男とか、裏方の雰囲気があった。男に訊くと、やはりこの裏に楽屋があるらしい。
楽屋に入ると、いきなりジャージに坊主の高校生が4,5人でパソコンの画面を見つめていた。睨まれる。こいつらは卓球部員だろう。他にもいろいろな人間がいるようだった。部屋の奥にアイドルたちがいた。おれのためにお菓子を用意してくれていたのだった。しかしおれは思ったんだ、「あれ…声優ってこんな顔だったっけ…?」
先生がやってきた。「制服を着てない人はすぐ出なさーい。神経質になってるんだから」おれは楽屋を出た。