真と結婚できなくてもいい

せめて同級生でいたかった。
体育の授業で校庭を走る真を見て「菊地のフトマタ!尻!」と興奮したり、昼休みに真が仲のいい男子たちとフットサルをしにいくのを横目に(奴らは俺とは違う階級の人間だものな)と思いつつ教室でオタクどもとトランプの大富豪をしたり、帰りのバスから真が他校の男子の自転車のケツに乗っているのを目撃して(菊地の彼氏なのかな、セックスしたのかな)とか考えてどうにも自分が情けなくなってしまったり、ついに真がアイドルとしてデビューしたときには「俺の菊地が全国区になってしまった!」と嘆きつつ、ファンクラブに入るのも群れるようで俗な気がして、音楽番組なんかも却って避けるようになり、結局一度も話すことができないまま高校を卒業し、大学生になり、ふと、気づけば大学4年生、酒を飲み飲み、ゲームのキャラに求婚の日々に自嘲し酒を飲む。