駅の柱

駅でトイレを探していると、大きな柱が男子トイレの入り口を塞いでいるのだった。どういう訳でこんな所に柱が立っているのか、柱の側に立つ駅員に尋ねてみると「地震対策なんとか法のなんとか」だとか言う。ここに支柱を作らないと、地震にやられてしまうのだ。法律なら仕方ないが、これではトイレに入れないではないですか、と抗議すると、「我々も犬のように、この柱にすればいいじゃないですか」。成程。よく見れば駅員もチャックを下ろして小便を垂れている。サラリーマン風情の男もいる。季節柄、尿からは湯気が立ち上がり、師走を感じさせる。見よ、彼等の幸せなとは言わずとも安堵した顔を。トイレではみな平等だ。(尿ミニケーション、これは流行るかもな)と思いつつチャックを下ろして俺は言った。「俺はウンコがしたいんだ!」