石牢

ちょっと広い会議室くらいの空間の大部分を占めるように、海の模型が薄暗く広がっている。そこはいわば大災害の展示会で、最後には放射能がまき散らされ、雷の鳴る中、海からゴジラが出現してショーは終わり、乾いた部分、プールサイドにいた俺の海を挟んで反対側に実在のトラがいた。トラと正対しながら刺激しないようににじり歩き、部屋の外に出ると中東風の景色だった。早く外に逃げないとまずいのだけど外へとつながる土の道には鎖が一本無造作にかけられていて、ただそれだけでそこを越えることが不可能だった。鍵となるものが必要なのは明らかだったのに何も身につけておらず立ち往生しているところに友人がやってきて、昨晩自分らが寝泊りした石牢にすべての荷物が置いてあると告げた。昨日はずいぶん酔っ払っていたのだとその時思った。