印刷紙

5日目が始まった つまり4日間が終わった 今日の犠牲者を確認するため俺は河川敷に向かった そこで仲間と会えるはずになっていた 彼が携えた印刷紙には俺を含んだ参加者の名前が間隔をあけて並んでおり 俺の名前に丸は書かれていなかった つまり俺は今日も殺される側ではなかった 毎日殺されるべき人間の名前が発表され それ以外の人間でその人間を探し出し殺すのだった 14人ほどの参加者も日が経つにつれ減っているはずだった その日武田を見つけた こちらに気づいていないようだったので後ろから近づき 襲いかかった 顔を地面に押し付けこちらの顔を見られないようにして動きをうばった それから殺そうと思ったが殺し方など何も知らないのだった 武田はあちらを向きながら何か騒ぎ立てている 殺されまいとしているのか殺せといっているのか判別できないようなことを言っていた そのうちに武田は体を捻ってこちらを見た 顔を見られてしまった ほどなく仲間がやってきたがすぐにその日が終わり 殺すことはできなかった やはり銃がなくては人は殺せない 6日目が始まった その日も俺は殺されなかった 7日目が最終日だった その日にある男から話を聞いた この7日間が終わったらそれぞれに結末が待っていると それは各々に見合ったものになるだろうと そしてその結末も紙に書かれていた それに俺は懲役50年だとあった なぜだと思ったが結局一度も追われる側でなかったのはそういうことかとも思った 一つ思い出したのは 誰かの回想の中で 俺は命令して少女を誘拐したのだった そして何年も監禁していた 少女は解放されたが 罪は重く 妥当な報いといえた ただ俺にはその記憶がまるでないのだった