内側の目の涙

夢の中で漫画を読んでいた。
部屋の惨状が描かれていた。あお向けに並んだ三つ子の死体はみな顔のどこかがえぐれていて、(目の残っているものは)虚ろな瞳で天井を見つめていた。視線をそらすとその母親が死んでいた。彼女はおそらく一目では彼女だとわからないほど皮膚がただれ変色して死んでいた。彼女の父親(つまり三つ子の祖父)は「子供たちはこんな風に顔を欠損させ死んでいるのに、なんで娘は化物のようになっているのだ」と憤った。それをやったと思しき女首領が立っていて、父親がその女に殴りかかった。女は無防備に殴られるがままになっていたが、そうされる間、彼女の内側の目、つまり両の目頭のあたりにある小さな二つの目から涙を流していた。
過去、母親は「四つ子だって知れたら怒られるかな…」と呟いていた。
それから、事件の真相を探るためのものたちが現場に集まった。彼らの中には物体記憶を読めるものたちがいたので、その能力を使うのだった。その中に誰あろうべジータがいた。もう一人の記憶読みが部屋におちた遺留品のどの記憶を読もうかと吟味している間に、べジータさんは奥の真っ暗な部屋に入った。そして苦悩しながら真相を知った。戻ってきた彼は怯えたような顔で、「きみたちは知らないほうがいい」と告げた。
その後のページで彼が知ったことが描かれるはずだったので、おれはそこで本を閉じた。どうせ父親が犯人だということはわかっていた。