コンクリート、深海魚

見渡す限りコンクリートが続く空港は寒々しく、実際、雪が降りそうな天気だ。そこにきて俺たちはやっと、最後の障害を排除した。目的は達成したのだからあとは帰還するだけだったが、それでも人目を避けるため、5メートルほどもある巨大な、体の器官のまったく存在しない深海魚の周りにみな立っていた。その周囲二歩ほどの近くにいれば、誰にも見咎められずにやり過ごせるのだった。ただこの魚がもはや自らこの場を移動することができない以上、ほかの方法でもってここから脱出する必要があった。……