コップの水

周囲に見守られて、決勝戦は何とかという、相手の女の子が告げた競技で行われることになった。その競技とは互いに水の入ったコップを持ち、舞いながら相手のコップに注ぎあうというものだということだ。試合は相手が左手にコップひとつ、こちらが両手にひとつずつという構成で始まった。最初は様子を見ながらという風に、互いの周りをまわっていたのだが、一閃、おれの右腕が彼女の体にのび、コップの中身を注ぎきった。それで彼女のコップはいっぱいになってしまったので、左手のコップの水はそのままにしていたのだけど、そうして、勝負に勝った。これでおれは全国大会にゆくことになったのだ。