先生に、あげる。

先生に、あげる。(1) (講談社コミックスなかよし)

先生に、あげる。(1) (講談社コミックスなかよし)

なんてこった!これはいいぞ!タイトルや表紙からどんな悪女(中学生に使う言葉ではない)が先生をたぶらかす話かと思っていたけれど、フタを開けてみれば、まあなんとも、かわいらしい女の子だった。頭もよくない おもしろいこともいえない ついでに 夢も 好きな人もいない (そのうえ友達もいない!) まじめな女の子が、偶然出会った男の人に恋をして、それが先生だった……というストーリーの、各パーツにはちょっと強引なところもあるような気がするけど、少女漫画のイディオムなので気にはならないと思う。
主人公の女の子と先生、彼女に歳上からの助言を与える姉 (とても優しいお姉さんだ) それからヒロインに横恋慕する好男子 (こいつはかなりのいい奴だ!) と、彼とつるんでおりヒロインに意地悪をする悪い女子たち、という構図はどこか見覚えのある感じだけど、圧倒的なのはヒロインのいじらしさだ。まじめなだけで何の取り柄もない (と思っている) 彼女は、だからといって自分を憐れむこともなく、ただただ、変わりたいと願い、一途な思いに駆られて行動するさまは、まさにかわいい女の子、君のためのストーリー。スカートが若干長めなのも地味に好印象だ。
おれが読んでいるので、当然のことながら、絵もいい。伏せる目が、振り向く顔が、腕の角度が、時おりハッとかわいいコマがあって、それでいろいろな表情をするので、この子の魅力をぐっと上げている。台詞や独白を引用しだすときりがないのでしないのだけど、言葉と表情の両方があってこの印象をなしているんだから、ページを破って渡すしかないねえ。
読んでいて最後に「なかよし」収録とあって、レベル高(たけ)ぇな、と思った。