「一日にひとつしか日記を書かない」というのはいい考えだった。おれは日記を書くように思考してるからだ。頭に浮かんでくる浮ついたことを即座に書き込むための場所がここであって、逆にここがあるから自由かつ短絡的に脳がはたらいていたところに、日記の側に一日一度という制限をもうけることで、却って思考を制限し、ある程度まとまったことを思うようになった。だから生活が変わっていた。これは狙い通りだったのだけど、意味のない思いつきや自由なフレーズを、一日の最後にまとめて書くような日記にうまいこと収めることなど到底できなくて、どこにも行き場がなくて価値もない言葉がどこぞに散らばって、こいつらもう日の目をみることはあるまい……というのを何度か見ていると、ま、よかったんじゃない、そう総括しつつあるわけで。ひと月も持たなかったのは想定の範囲内なわけで。どうでもいいことだなでもどうでもいいことを書けないというのは意味がないのだから。