現実への看板

学校の、視聴覚室のある薄暗い棟で、試験の時間を待っていて、暇を持てあまして日なたの屋上で時間をつぶしていたとき、ふと、試験は十二時だと思っていたけれど、実は九時からなのではないかという思いに駆られて、記憶を手繰ってみると、じつはハッキリと時間を確認していなかったことに気付き、すぐにその場を発ったけど、試験場までの徒歩の道程は案外遠く、それなら初めからもっと近くの場所で時間を潰していろよと自分に文句を言いながら歩く田舎道はアスファルトで舗装されていて、両端は緑の畑に挟まれているのだけど、左手に並ぶ看板は、現実とスムーズに通い合っている気がする。(目覚ましが鳴って、寝たり起きたりする。)
結局試験を受けたか受けなかったのか分からないが、その後体育館に連れてこられて、先輩だろう人物たちがメロンくらいの大きさの果物を飛ばしており、これを打ち合うのだと説明し、ありていに言えばバレーボールなのだよと説明するそばでネットの向こうがわから発射された果物が恐ろしい回転とスピードで間近を通過し、信じられない角度で床や壁を跳ねるのを見て、俺はもともと球技が不得意なのです無理ですといいつつもコートに配置され構えているときに覚えた違和感は、自分がズボンを下ろし下半身を露出していたことだった。