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シャワールームの排水溝

黒いPCが乱雑に置かれた学校の情報端末室で、近くの席にいた人間のマシンからの音声配信のテストをしていたところT君が現れ、彼はこのたびの歓迎会だかには出席できない由を聞く。部屋にいた人間たちが椅子やモニタをガラガラと近づけあって何やら相談をはじめ、輪には加わらないものの俺は話を聞いており、各班それぞれが何かの出し物をするらしいということは分かる。
移動のため一同で建物を出ると夜のはずなのに昼のように明るい、ほかの人間も口々にそう言っている。手にしたカメラで空を撮ってみるとシャッターの音ものろく、ぶれにぶれた写真が撮れた。ならば外はやはり暗いのだ、「俺たちの目が良くなったんだよ」と皆に告げて満足する。道中、食事に数人と同席する機会があり、年のころは二十くらい、髪をセミロングにした向かいの女の子が口を開き、それじゃあNHKの某アナウンサーについて、と、ひとりでに語りはじめる。その内容は当然やおいネタだ。俺は彼女と以前に会ったことがあるらしく、またこの話をしてるよ、と隣の相生という男に笑ってみせている。
到着したのは会場というよりは単に白塗りの空間で、さっそくどの班かの出し物であろう段ボール作りの獅子舞が迎え、みんなしてひと飲みにされる。一緒に胴を下りながら相生は投票、誰に入れたと聞いてくる。俺は投票を済ませていて、五人の班長のうち一人の案は良くなかった、だからそこには入れなかったと伝えると、彼は安心したようだった。
以降俺の存在はなくて、俺=相生が建物に入ると、エレベーターからぞろぞろぞろと男たちが降りてきてなかなか前に進めない。やっと人混みがなくなって中を見ると床のところどころに排水口があり、熱気や湿気も立ちこめている。トイレの表示に頼って奥へと進むがずっと同じ景色が続く一方で出口すら見つからない。見たところここはシャワールームで、すると騙されたのだと気づいて手近な小窓から外を覗くと、先ほどの女が相生をあしざまに語るのが見える。1年1組出席番号1番だからって、111のTシャツなんか作っちゃって、と笑っている。目が覚めてから、相生ならたしかに出席番号1番だろうと我ながら感心した。