まったく憂鬱というやつは優しげに、おだやかに精神を包み込み、倦怠の底に沈められたおれは惰性と義務感だけを頼りに身体を動かして、あげく失敗した一日の終わりに溜め息を吐くことになるのだけれど、しかしそれで終わりなどではなく、刻一刻とおれの未来だったものは失われてゆく。ならばおれも刻むしかない。あの男の名前を……!