#13 そして、彼女たちはきらめくステージへ

ステージ、ステージだよ!準備中で観客のいない会場に声が反響しては消える、暗く静かな雰囲気と、ライトに囲まれた化粧鏡に向かって座る楽屋の、浮ついてそわそわした空気、おにぎり、お茶とサンドイッチ、モニタには仲間が映っていて、じきに自分の出番が廻ってくるだろうっていう不安。舞台に登ってみると強くライトに照らされて観客たちの顔は見えない、けれど満場の視線は確実にそこにある。そんな中で、美希はよくやったなあ……と思う。そこまでの数話の流れについてはあまり興味はないのだけど、ただ、舞台に立って、ひとり観衆に挑戦したのは偉い!
音楽もいい、まあ引退当週の BGM は、まあ普通に思い出のある人間にはそれぞれ強い思い出があるから……。最後に流れる、今回のED『i』のイントロはまさにこの回、というかクールの終わりにふさわしくて、安堵と総括の雰囲気で話を終わらせてくれる予感をくれる。そして実際そうだ。
しかし今回は、なんといっても、雪歩の印象が強かった……。だって見ただろう、彼女が最後には、ウィンクをしたんだぜ。だけど俺が見ていたのは雪歩本人だったのかというと、そうではなく、その背後の、彼女のことを愛している人の方だったかもしれない。かの人の愛に包まれて、いや、もちろんストーリー的にはそうではないけれど、俺の目にはそう映り、その世界で、彼女はついにこのように誇れることをやったのだ。もともと空想の世界にいる彼女たちはいかようにも好きにできるはずだが、でもそういうことは敢えてせず(もしくは思いもつかなくて)、ただ謙虚に愛する人々が彼女たちの影にいて、彼女たちはできることを歓喜とともにおこない、たとえ失敗しようとも、満遍の愛が、足許にある(ことを知らない)。なんかそういうことを思い出した。忘れてたんだよ。