トランプと瓦礫

修学旅行ふうに布団が八つ並んだ部屋で、マクラ投げのようなことをする。マクラ投げと違うのは、めいめいが何がしかの超能力を持って、相手をダウンさせれば勝ちである点。ちなみに俺は1.5mほどの距離にあるものを手を触れることなく自由に動かすことができた。俺のいる側の四人は片づいたか戦意を失なったかして一段落ついたので、向こう岸の布団に顔を出すと、寛いでいるものが二人いて、あとの二人は外に出たようである。窓のほうに立っている一人に、今日の予定を尋ねる。夕方すぎには何かの発表会があり、そこで俺も五分間だけ話すことになっていたのを思い出して、出番をキャンセルしなきゃいけないなと思う。原稿の準備ができていないのだ。
外に出ていたもののうち一人が帰ってくる。もう一人は、と訊くと、倒したと応える。どういうことかと口を開こうとすると、自分と、壁ぎわでトランプをしていた一人の頭の上から突然、固い瓦礫のようなものが降ってきた。危ういところで避けることができたが、慌ててマクラを掴んで頭を守り、次に備える。帰ってきた彼のしわざであることは明白で、問い質すと、だって気絶させればいいんだろうというようなことを言う。ルールはそのように決めたが、いくらなんでも危険すぎた。これでは帰ってこないもう一人のことも心配だ、と思う。
昼すぎ、出かけて空港のようなところで食事をとる。時間が間に合わなくなってきたので慌てて席を立ち、食事をあとにするが、皆が去ってしまったあと皿を片づけなくてはいけないと言われて、それをやる。布の張られた大きな箱がいくつかあり、そこに保存できる残飯・捨てなくてはならない残飯・皿などを仕分けしていく。レーズンパンとジャムパン、ピザがタッパーに入れられて、保存できる残飯の箱に入れられた。
夕方、例の会場に辿り着く。円筒形の建物の最上階で、青いタイルカーペットが敷き詰められた部屋にテレビカメラが数台設置され、何人かが立ったまま打ち合わせをしている。どうやらテレビ放送されるようで、はやいところ責任者に俺の出番をなくしてもらわないとまずそうだ。後ろを振り返ると円形のフロアは小ぢんまりとして間に壁も仕切りもなく、反対側が控室になっているのが見える。足を踏み入れると知り合いが、と言っても実際の知り合いではなく、以前夢に出てきたことがあるような知り合いだったが、それがピアノの楽譜を読んでいて、挨拶をする。彼も何がしかの形で出演をするらしい。そんな話をしていると、リハーサルの声が聞こえてくる。先輩が始まりの挨拶をしているのだが、俺が最悪これで凌ごうと思っていた話題がそこで全部語られてしまっているのだった。