彩色された動物

古い旅館のようなサークル棟のような小汚い建物の一室から下を見下ろすと、それぞれ純色に彩られた、子豚ほどの動物たちが大勢、次から次へと姿を見せては外に走り出している。どこから這い出しているのかはベランダの影になっていてよく分からないけど、たぶん建物の下から地面を掘って出てきているのだと思う。自分たちも外に出て、その動物たちの様子を眺めていた。
外国の広い病室にベッドが並んでいて、吸入器を着けた子供たちが臥せっているのだが水も飲んでいないらしく衰弱しきっている様子だった。一緒に来た女の子がその一人のために吸入器を外し、口移しで水を与えているのを目の当たりにした俺は、その後彼女と手をつないで町の石畳を歩きながら聖人のような子だと俺は思って感激している。
また一人になった俺は人集りに出くわす。小さな建物に男が立てこもり、子供ふたりを人質にしているらしい。入り口には刑事らしい男が体を寄り掛からせて交渉にあたっている。犯人は衆目の中姿を現して芝居がかった仕草で刑事に銃を向けて何かを叫んでいる。緊張した雰囲気の睨み合いののち、ついに男が引き金を引く、が、銃弾は放たれず、おそらく何かの計略が成功し、刑事がほっとした様子を見せると、そこにいた群集がわっと建物に押しかけて子供たちを救う。俺も遅れてその中に入ると、ふたりの子供の父親らしい気弱そうな男が刑事に対してどうやら今回のことの料金を値切っているようだった。