ものごとは常に真っ直ぐはこんでいくものだろうか。因果はつねに未来に向かって解決されてゆくものだろうか? 世界は川の流れに例えられる。上流から下流へと向かう方向が時間で、それ以外の世界のすべてが川の幅で、各点での流れが因果だ。因果は必ず次の因果を生み出し、その流れはザ・グレート・ドーンから始まって無限の彼方まで連続だ。けれど流れはいつも下流に向かうだけではない。俯瞰すれば下流へと向かう大きな流れの中に、渦のような流れが存在し得る。ときおり生じるその小さな渦には、上流へと向かう流れがある。そしてそういう因果の流れは周囲の因果とその起源を同じくせず、その事象の原因を辿っていくとそれ自身に行き当たる……というような連鎖である。川の例えを離れるならば真空から因果と反因果が対生成し対消滅するような図を描くこともできる。反因果、つまり未来で起きることが過去の何ごとかに帰結するような因果であり、そしてその因果のループの中心に存在するのは静止した世界、因果の不動点だ。