スティーヴ・ハミルトン『解錠師』

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

今年の正月に行った古本屋で100円だったから買ったのだった。今年のうちに読めて偉い……。

芸術的な金庫破り師となった少年のたどる運命、ってな感じのストーリーで、ふたつの時間軸が交互に語られ、ロマンスとサスペンスを盛り上げていくので、めずらしく一気に読んだ。映画っぽいと思う。主人公はアメリカ的な出会いと別れを体験しながら、犯罪組織の都合に巻き込まれていくんだけど、そんな中でもヒーローらしさを失わないのは、かれが幼いころに声を失い、みじかい独白と無言の態度だけで物語を進めているからなんだろう。

なんかヤングアダルト向けの賞を獲ったってあるけど、こんなん少年少女に読ませたいもんかねえ。セックスも暴力も出てきますけど。クライマックスはデトロイトの男との直接対決だな、と思ってたので、少し拍子抜けした。アメリアは結婚しちゃってるし、寝ぼけまなこにしたって、いつ出所するかはわかんないんじゃないのかねえ。と思うとおれは怖いよ。