ピエール・ルメートル『その女 アレックス』

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

バーナード嬢曰く。』4巻で名前を見て、面白そうだったのでパディングとして購入、したのだけど、手にとったら面白くて昨日そのままめずらしく夜中2時まで読んでしまった。夜ふかしと、あわせて酒も飲むので寝不足になっている。ミステリやサスペンスはいつもこうなってしまう。そして確かにヘヴィで、すぐ寝付けはしまいと思ったので口直しに自分の文を読んで寝た。叙述などではなく、プロットが急である点で紹介されそうだが、それ抜きでも十分面白いと思う。

アレックスが誘拐され、その理由もわからぬまま監禁される、という話から始まったはずが、アレックスが脱走してからは、彼女が男たちを次々殺してゆく、警察はそれを追う……、という急転ぶり。監禁されているときの描写はそれほど迫真を感じられずのんびり読んでいたが、脱走してからはだいぶハラハラさせられた。誘拐犯の謎などは始まりにすぎず、本当の謎はその女なのだった。読んでいるときは分かってなかったけど、いま考えたら口を狙った理由もわかる気がする。しかしホテルの隣人を妄想するシーンはただの殺人狂みたいじゃないか? むしろそうなっていたのかも。

面白かったけど高校生に薦めたい感じではないな。本はどっかに追いやりたい……。読みはじめたときにはくどくどと長ったらしい描写に閉口したけど、これがフランス流かなと思ったら読めるようになった。

こないだの『解錠師』もこのミスだったかな。そういう気分なのかも。