★★★★! いやあー、もろもろ買ったうちの一部。2巻で読みさしていたのを、一気に読んでしまった。そうなるんかい! と心でツッコミを入れつつ、四郎の心のゆくえを存分に追わせてもらった。四郎をとりまく世界は、広がったようで、そうでもないような、だけど前進はあった。おれは手紙を読んではじめて、未来がひとりの人間なのだと、ようやく理解できた気がする。それまではなんだろうな、四郎の目線で見た未来の描写しか(とうぜん)なかったので、そうだったのかもしれない。

これをそれなりにすんなり読めているのだから、おれも大人になったということだろう。

自分はクズじゃないかって思いつめて、だけどクズの見本みたいな父親の言葉に救われる。なんかいびつな構造があって、だけどそれが必ずしも解決して終わるわけじゃなく、いろんなことを飲みこんでいく、というのが、この物語の進みだった。

この本を読んでいると、広島の描写がなぜだか真に迫っているようで、広島にいたことないんだけど、とくに2巻まで読んでるときは、自分が広島に住んでいたかのような気分にすらなったのだった。