恋の話だよ!

150の少女という娘が学校にいて、お互い好きだったのだけれどある日死んでしまった。その事も昔になったころ、僕はパーティーを開くようになった。それは俗の限りをつくしたパーティーで、女の子と互いに卵白を口に含んだままチューするようなことがおおっぴらにできたし、個人的にもかなり儲かったので、すぐに次のパーティーを開いた。自分は保健室に行って前会った女の子と会えるんじゃないかと期待して待っていたころ、150の少女を悼む軍勢がやってきたという知らせが入って慌てて外に出ると、校舎と正門の間の広場に生徒会長のN田が居た。すでに夜になっていた。N田はいつもの調子で「どうなってるんだこれは」と訊いてきたけどもちろん分かるはずもなく、広場から見えるビル街に向かって「less」と呟くとビルの灯りが1桁消えた。そこで「more」と言ってみたけど何も起こらなかった。食堂に向かうとパーティーの参加者がみんな席についていて、自分の席を探したけれどどうしても見つからなかった。そのとき敵と戦うために木の棒しか持っていなかったのだけど、並べてある武器を見たらよく研いだカミソリと斬鉄剣が残っていたのでカミソリを持っていくことにした。食堂を奥まで走ると薄暗い書庫があって、棚に古い漫画がたくさん並べてあった。漫画のタイトルを順に見ていく途中で、棚に掌くらいの大きさの薄い鉄の板が何枚も溶接されているのに気づき、カミソリで一枚一枚剥がしていくとそのそれぞれに150の少女から僕に宛てたメッセージが彫られていた。それを読むこともせず最後の一枚まで剥がしつづけたが、何枚も重ねてあった最後の方はすでに文字が溶けてしまっていて読むことができる状態ではなかった。結局僕がそのメッセージに気づいたことを告げると軍勢は去って、書庫の棚からは彼女の遺品だと思われるものだけを残して、あとの漫画は全部燃やしてしまうことになった。