昼夜逆転

雪の夜を、1111みたいな(金髪のヨーロッパ人だ)先輩と一緒に走る。俺は精子、先輩は卵子をスプーンで運んでいる。人工受精が行われるのだ。大雑把に言って半径1メートル、高さ3メートルの円筒形の、青緑に光るカプセル(バイタ=チャンバーと言うのが一番近い)で反応させる。カプセルはトラックの荷台からほとんど外に出てしまっていて、道路に横たわっている。この大きさでは実用にはほど遠い。と、先輩が卵子を落とす。拾いながら、「泥が付いた部分だけ捨てればいいんだよ」と言う。何とも大雑把なことだ。
仕事を終えて事務所に帰る。窓から西の空を見ると、今にも夕日が沈み、朝が始まろうとしている…。おかしかった。今の今まで太陽は空に昇っていたのに、周りは真っ暗だった。そして太陽が沈んだ今、空は白み始めている。事務所の他の面々もそれを感じているようだった。実感を伴う集団昼夜逆転。そんなことがあって良いはずがない。そう思うと俺は退行してしまった。褐色肌の艶やかな女に布団をかけてもらう。こうしてもらうしかなかった。今や短小、今や包茎となってしまった俺のちんこにキスをする。彼女に見守られながら俺は眠りに落ちた。