領収書の精算

出張に伴うイベントに領収書の精算というのがある。日常生活にかかる金は、領収書さえ取っておけば後で会社に請求することができる仕組みになっている。社会の仕組みだ。前回の精算から2週間が経ち、さすがにキュウキュウとしてきたため俺はその場所に向かった…。
総務の女の子は俺に気がない。俺に気がない女の子にヘコヘコしながら領収書の束を出し、俺は乞食のように金を待つのだが、実はこれはブラフで、俺はその束にエロ本を買った時のレシートを1枚だけ忍ばせていた!レシートを繰る彼女がその1枚を見過ごすさまを見ていたくて、ドキドキしながら机の側につっ立っていると、いつしか彼女は不穏な目でこちらを見つめ何か言いたげにしている。場を取り繕おうと俺が「こんな風にして君にお金を貰うなんて、俺はヒモみたいだね」と言った(これはとっさの一言ではなく前々から言おうと思っていた)のが悪かったらしく、半目で「…後で現金をお渡しするので席についていて下さい」と言われては立てつくこともできずスゴスゴと席に帰る。金がなくては生きられぬのだ。やがて彼女が金を持ってきたのだが、なんと態々封筒に入れて寄越すのだった。そんなに俺の手に触れたくないか、いまどきコンビニの店員でもそんなことしねーぞ!と一瞬にして俺の怒りが爆発し、思わず「君の彼氏に決闘を申し込む!」と叫んでいた。場が一瞬にして白けてしまったので帰った。エロ本のレシートは左のポケットに入っていた。