彼女が部屋を漁ったら

「どうしたんだ、押し入れなんか漁って」
「……丁度よかった。そこに座ってください」
「うん? これは……」
「『アイドルマスター』のグッズ。さっき、押し入れの奥に隠すようにして置かれているのを見つけたんです。それも大量に。大切そうにして」
「そうか。懐かしいな」
「趣味をどうこう言うつもりはないけれど、どうして? 隠しごとは無しと言っていたのに、私に秘密にしていたんですか? 何か疚しいところが?」
「そういうわけでは……」
「じゃあ何故隠していたの?」
「……」
「そうよね、可愛いもの、この子たち。萌えるんですか、『プロデューサー』? お気に入りは誰かしら? このリボンの子? 名前は何て言うんでしたっけ?」
「……」
「知らないわけないでしょう! 言ってみてよ!」
「……春香」
「ふうん、春香。馬鹿面で笑って、頭の悪そうな子」
「……きみは彼女のことを悪く言わないでくれ」
「どうして! やっぱり二次元の女の子がいいの? 現実の女は年を取るから? 私のように? ……あら、どうして泣いているんですか?」
「そこはきみの故郷だぞ、ほんとうに忘れちまったっていうのか、如月千早!」