スーパーの前を通りがかったら湿った揚げものの匂いが漂ってたことに昔のことを思い出して、少し寂しくなった。あのころは寄る辺なさを何に頼ったらいいのか分からなくていよいよ暗さの訪れようとする夕方の道をスーパーまで歩いてその日の夕飯を決めようとしていたのだった。そうしてまったく俺ときたら、自分のこれから作るだろうメシに対して何の期待もしていなかった! ただモソモソと作りモソモソと食べるだけだった。
そんなことを言葉にせず感じながらスーパーに入ったが、惣菜コーナーに揚げものはなかった。