ゆの「はあ……なんで大学生って自分のアイデンティティを確立することに躍起になるあまり他人の目を意識した行動ばかりする一方で薄い経験と浅い知識に基づいた狭い知見による自己満足に浸って、そうしてそのとるに足らない価値基準で他人を見下せると決めつけるや尊大な態度を取り、そのくせ自分の想像の及ばないところに自身を確立した人に対してはへいこらするんだろう……」

宮子「あ、ゆのっちー。今日の飲み会やっぱ行かないの?」
ゆの「宮ちゃん。……それ、合コンだって私言ったよね」
宮子「うん」
ゆの「もう合コン行くのやめてって私言ったよね!」
宮子「うーん、でもやっぱりお酒飲むの楽しいよ」
ゆの「違うでしょ。宮ちゃんほんとは男漁りが楽しいだけだよね」
宮子「あはは」
ゆの「そんなに男とやるのが楽しい?」
宮子「まあねえ」
ゆの「なんで……」
宮子「なんでって、ゆのっちそれ訊く? 何ていうか、気持ちいいじゃん」
ゆの「なんでよ……私じゃあ駄目なの、宮ちゃん……」
宮子「だってさー、ゆのっち体小さいんだよね。大きいよ、男のひと。抱きしめられたら気持ちいいよ」
ゆの「……私前から言おうと思ってたけど、宮ちゃんに触られるたびにこの手で男の人のそういう所触ってるんだって思うと気持ち悪くて仕方なかった」
宮子「そっか……」
ゆの「そうだよ」
宮子「やっぱり女の子同士なんておかしいんだよ」
ゆの「そういう話じゃない!」
宮子「ゆのっち可愛いから彼氏とか見つけられるよ、すぐ」
ゆの「私そんなことしないし……私宮ちゃんみたいに能天気にしてらんないんだから」
宮子「私が能天気でもなんでもいいんだけどさ」
ゆの「私は毎日頭使って生きてるの! 宮子ちゃんみたいに子宮で考えたりしてないの!」
宮子「ゆのっち、それ本気で言ってる?〔ゆのにも話したことのあることだったが、宮子は小学生の頃にその名前について子宮だ子宮だとからかわれていた経験がある〕」
ゆの「さあ?」
宮子「……わかったよ。ごめんね。もうゆのっちとはセックスしない」
ゆの「えっ、ごめん、宮ちゃん待って」
宮子「すぐ謝らないでよ。何も考えてないみたいに見えるよ」
ゆの「宮ちゃんごめん」
宮子「友達ではいようね。じゃあね」