会議

とんでもない技術が発見されたので、宇宙規模の会議が行われることになったが、その初回は、道中、参加者みな互いに何の案も持ち寄っていないことに気付きお流れになって、それから準備期間を挟んで第二回の会議。宇宙規模というだけあって様々な文明体の代表がざっと二十人ほど一堂に会していたが、みな人間と似通った姿かたちをしているのは同じだった。向かって右手には理論派が集まっていて、概して甲冑を着たような、いかつい外見をした者が多く見受けられるいっぽう、左手は実践派で、生身の人間のような者が大抵だった。というより、ほぼ人間そのものだといってよかった。それぞれどんな案を携えてやってきたのか分からないが、理論派のひとり、全身が真っ黒で並べば見上げるほどの巨大な体をもった者は、子供を孕んでいたのだが周囲の者に自分の体をわざと傷つけさせて頭から血を噴き出しながら喜んでいたという話があった。これが何を意味するエピソードだったのかは不明だ。会議が進むにつれ出席者は席を外してゆき、ある時点で残ったのは殆どが実践派の代表たちになっていた。そのうちのひとり、和服を着た少女が、数枚のかるたを俺に見せこれはどういう意味なのかと尋ねるので、答えてやると、彼女はそう、と呟き二階へと席を移動した。席が一階であった俺はショックを受け、次の会議をサボることにした。会議のための準備は授業中に大学ノートに書き付けていたが、この習慣は守った。放課後が会議の時間だった。掃除の終わった教室で、驚くほど懐かしいクラスメートが一緒に帰ろうと俺を誘ったが、万一のことを考え、会議に備えるため教室に残った。