読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

女性が木の箱に入ってやってくるという趣向のデリヘルの、ドキュメンタリー風プロモーション映像がある。ある一人暮らしの男を定点観測しているという演出で始まるが、次第にカメラは勝手に動きだして、こだわりもないようだ。話はこんな感じ。彼の電話によって箱が届けられるが、その到着が遅れた。ここのデリヘルは到着に遅れが生じた場合、ピザ屋のように補償があるのが特徴で、その権利を行使するかどうか、箱から出てきた女性そっちのけで彼は悩む。カメラがその横顔に寄って、緑色透明な内面の彼が自身を何か説得しているシーンとなり、彼は決断する。それからナレーションとともにトラックが高速道路を走る映像ののち、大仰なコンテナに収められた数本のアイスが、彼の家に届けられる……。
そんな映像がスクリーンで流れることになっていた。市民ホールのようなところに客が大勢入って、シンポジウムだか何かがあるのだ。映像の内容をあらかじめ知っていた俺はちんこを出して待機していたけれど、イベントは思いの外盛況で隣の席にも人が座ったので、ちんこはしまうことになった。上映のあと休憩を挟んで俺(たち)の出番だったが、開始が押していたので思っていたより休憩の時間が短く、30分しかなかった。もちろん出番の準備は整っていないので、この休憩の間に何か手を打たなければならない。俺は電車に乗ることに決めていた。
そういうわけで一行で電車に乗る。30分もあれば行って帰ってくることができるだろうと見積っていたが、乗ったのち切符をよく見ると、この駅から先に行くと戻ってこれません、戻る場合は歩いて別の路線に乗り換えて下さいとあり、地図を見てみると乗り換えるにはフェリーで川を渡らなければならず、どう考えても間に合わない。皆があわてるので俺は、女の子の一人に星座を見るアプリを見せてやって、「ほら、二人の星座を合わせると、こうなるだろ」と言っている。なるほど画面を見てみると組み合わさった星座が「渋」という文字をなしているのだけれど、渋谷なのか pixiv なのか、そもそも俺が何を言いたくてこれを見せたのかはよく分からない。結局、女の子は怒って終点の駅で帰ってしまい、残った面子で別の駅まで歩くことになる。
道中、見知った顔を見るたびに、何か事態を打開する朗報がもたらされはしないかと期待して、結果、関係ない用事があって現れたのだったり、たんに別人だったりするので、落胆することが何度かある。