スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』

若くしてこの世を去ったアメリカの天才作家エドウィン・マルハウスの人生をつづる伝記……を装ったなにか。装ったなにかである、というのも、エドウィンはたった12歳で死んでいて、この本ではその人生を幼少期・壮年期・晩年期に大真面目に分けてみせているおかしさがある。

所々の紹介では鮮やかに描かれる子供の世界、のように書かれていたりするが、そのような感想はとくにない。幼少期はエドウィンと書き手のジェフリーばかりの登場でけっこう退屈なのだけど、壮年期(小学校にあがってから)に入ると一気に面白くなった。読んでいると、エドウィンの伝記のような体をしているが、ジェフリーの話なのではないかという風に強く感じられる。あとがきを先に読んで、信頼できない語り手なのかな、と思っていたけれどそれとも少し違う気がした。ジェフリーは偏執的な観察対象としてのエドウィンと心のなかで融合し、伝記としてのエドウィンの人生を見ていた。エドウィンは主人公のようでありながら本の中に閉じ込められ主体性を失った存在であり、終わってみるとこれはジェフリーについての本なのだという思いが残る。

生涯をふり返る話、信頼できない語り手ということでウルフの『ピース』を連想したがそれもあながち間違いではないように思う。エドウィンに関わった人物の死には不気味さもある。

長い夢だったので忘れる前に簡潔に

- 小さい子供をマッサージしていたら肛門から腸をはじめ内臓が出てきていた。押し戻すが戻らない。本人も周囲もけろっとしている

椅子大の大きさの人を殺すロボットが合宿中の建物に大量に侵入してきて、生き残ったものの多くが図書館に逃げ込んでいる。準備を整えて大群を迎え撃つと、黒い塊となったその先頭は人間の顔と身体をし、人の言葉を話している。しかし話してみると本当は人間ではない、ただそういうインタフェースである

なんかイマイチ盛り上がらない会話を1時間ほど繰り広げ*1たところ、物理的に頭が痛くなってしまった……。なぜ盛り上がらないのかというと、互いに何を知っているのか、それをどういう基準で判断するのか、という情報が共有できていないからではないだろうか。こういう話をしていて、相手方は理解してくれるだろうか? 気分を害したり呆れたりしないだろうか? 相手の訊いていることに期待どおり答えられているのだろうか? といちいちビクビクしながら受け応えしているので気付かれというレベルでなく物理的に脳に過剰に血がいった挙句、頭痛がする。舌も乾く。

*1:つまらない言いまわしで、吐き気もする

歩いたりものを運んだりしてヘトヘトと疲れたときに糖分を摂ると回復する、というような体験があって、本当にそういうことってあるんだなと思う。パフェとか大福を食って一休みするのだ。昔は甘いものなんて好きじゃなかったのにな。疲れたときは疲れたままで、寝ることでしか治らないと思っていたけど。正直寝ても回復しないけどね。