前回の実験で限界の六年前に戻ることに成功した博士。世界を救うために可哀想な少年を連れて今度は六十六年前までさかのぼることにした。特別な液体を飲み、追ってきた自衛隊を尻目に特別なエレベーターで急降下だ。「あの液体を飲んでないやつらには追いつけないのですよ」と少年は言った。
さて、長く激しい落下感ののち彼らは無事六十六年前の世界に着いた。無事?いや、何かがおかしい!見れば少年が蛙のようになっているではないか!急いで近くの薄汚い病院に駆け込むと婆さんと呼んでもいいような受付女が無愛想に症状を訊いてくる。こちらが話していると「フン、フン」と言いながらマニュアルのようなものをめくってゆき、そして最後のページにはボールペンで一言「手術」とだけ書かれていた・・・。案の定「手術しかありません」と女は言ったが、少年曰くの「駄菓子屋より汚い」ような病院で手術なんかされるわけにいかない。じきによくなるだろうと病院はあきらめた。
しかし、ここで異様なことに気付く。なんとしたことか、僕はポテンシャルとハミルトニアンの公式を覚えている!あのエレベーターで過去に遡ると、記憶を失ってしまうはずなのに!少年のことといい、どうやらなにか「よくないこと」が起こっているらしい・・・。