さてさて高校のころのお話

高校のころ付き合っていたある女の子は非常に絵が上手かった。今でこそ世に星の数ほど絵師がいることを知っているものの、惚れた贔屓目もあってだろうが、彼女の描く絵はプロ並みであるなあと思ったのだった。刺激され、その娘と付き合いだしてから、俺も一緒に絵を描くようになった。俺の絵はもちろん拙いものであったけど、それでも自分の頭の中にあることを紙に落とすというのは楽しいことだと知らされた。彼女にはオタク的な性質があって、だからといって今でいう腐女子(まあ高校のころからこの言葉あったけどね)という感じでもないが、コミケなんぞにも行ったりしているような娘だった(俺のその辺の萌芽ってのは彼女にあったと言ってもいい)。彼女のエロに関する知識というのはエロ同人誌からの(偏った)知識であり、もちろん俺も同様だった。それで、俺と彼女がセックスするとき、それが終わったあと、二人でその次第を漫画にし、また逆に先に漫画を描いてから事に及ぶ、というような遊びをしばしばしていたのだった。未熟な知識でいろいろと無茶をやったりもしたが、今考えると、そうやって相手を二次元のキャラクターという存在に嵌め込むことで、互いを美化するという、それは虚構の恋愛だったのだろうと思う。