花見

花見というよりお祭りだった。地面がビニールシートで真っ青になっていて、いろんな人が花見をしていた。一番楽しそうだったのは大学生で、大勢で車座になって酒を飲んでいた。人ごみに流されながら、そういう光景を眺めてまわった。学生の時分にこのような経験をしてこなかった人間はかならず後期に精神異状をきたす。図ったようにおそろしく花見日和な花見日和だった。大学生といえば道中いつも通り、プラカードを掲げて政府に抗議する学生の集団があった。女の子が一人、他の学生の注目を集めながら、電磁メガホンを持って何か主張しているのだけど、声が小さくてまったく聞こえない。見ればそこの学生全体がぱっとしない感じなのだけど、彼女ひとりが女性なので、たぶんセックスをする。俺はそういう物語に巻き込まれたことがないので想像がつかないのだけど、セックスをするんだろうなと思いながら自転車を押していた。