死体を隠す

友人が死体を出してしまったのを、隠しておく場所がないというのでうちの洗面所に置いてあった、首のない死体。数週間経っても腐ることなく死体はそこにあって、そこで顔を洗ったり歯を磨いたりしていた。来週知り合いがやってくるのを思い出して、死体を処理する必要に駆られていた。とりあえず死体を浴槽に移動する。これから足のつかないようにノコギリを買って、適当な部位に切り離して、あちこちに分散してゴミに出す…。来週までに可能だろうかということに焦り頭を悩ませていた。
それから俺は死体を処理できたのか知らないが、死体を捨てる予定だった公園に面した通りで大勢の幼稚園児がトラックに勢いよく轢かれて血を撒き散らして死んだ日の夜、俺たちがその通りをずっと遠くから徒歩で下っていた。血で描かれた足跡がひたひたと道路を走って、何もいないはずもないのに何かに足を蹴られたり、囁きかけられたりする。恐ろしいのだけど気分は高揚していて、公園が近づくにつれ歩くペースが速くなり、公園の中の野球場に着くころには皆で駆け込んでいた。そしてその勢いのまま取締役の投げるボールを打てば赦してやる!野球だ!バッターボックスに俺たちが並ぶ。俺は列の最後だった。最初のバッターは初球をピッチャー返し、ボールはグローブに弾かれて一塁打となった。二人目は凡退である。三人目は高めのボールにも手を出してしまう。ピッチャーはどんどん近づいてくる。どんなに高いコースのボールにもバットを振り、目の前にいたピッチャーの腹を叩く。でもピッチャーは大丈夫だ。ピッチャーはマウントに戻りまた投げる。三振であった。