ブロックチェーン

要は、リアルな価値のことはまず忘れ、ブロック高とハッシュのペアが、取り引きのなす世界線上のある一点を指しているのだと思えばいい。ブロックが前のブロックのハッシュを含んでいる仕組みから、最新のブロックの情報さえあれば世界線は特定できる。当然この世界線は各ノードで生成するものであるから分岐しうるわけだが、(正しいものは当然として、)最長のものを採る、と決まっている。すると最長のものを生成したもの勝ちになっちゃうのだけど、そこで Proof of Work という機構が登場し、ある程度の計算コストをかけなければ新たなブロックを生成(= 採掘)できない、というルールがある。採掘に成功したノードは自身に報酬をあたえる取引を加えることができ、なので世界線を書き換えようという悪意を持たないノードにも採掘の動機はあるし、PoW はその報酬取引を含んだブロックに対して計算するものなので、悪意あるノードが他人の計算結果をコピーしてもそのノードを利することにはならない。こうして地球の電力が無駄遣いされているわけだが、無から信用を産み出すのにはこれだけの労力がかかるという話でもある。ブロックチェーンで価値の移転をしようとしてはじめて現実的な価値が生じる(し、書き換えの動機も生じる)。手作りピザを買うのに 1 トークンだけ送るよ、と買い手が言い、売り手がそれを承諾すれば価値の発生である。例えばピザの届いたあとに、買い手が売り手に 1 トークン送った取引を自分自身に送るような取引に書き換えられれば買い手は不正に利益を得られるが、その時にはすでに元の取引は採掘済みで各ノードの認識する世界線に加えられているので、独りでその世界線を追い越す = 遅れたぶんの PoW を計算するのは非常な高コストとなる。