長かった。なんか同じことを手を変え品を変え言ってるばかりであった。時間がないかどうかはともかく、欠乏の行動経済学。原著は Scarcity とか、そういう感じのタイトルだったはず。欠乏、つまり必要なものが必要なだけ得られていない状態にあるとトンネリングが起こる。トンネルの中にいると短期的な視点になってしまい、目の前の物事に集中はできるものの、それ以外のこと、とくに長期的なことに考えがまわらなくなる。単純に思考力も落ちる。「トンネリングはマルチタスクを誘発する」という観点はおもしろい。マルチタスクで得られるもの(進捗)はトンネルの内側だが、失うもの(処理能力……注意力、精度、品質)はトンネルの外側だ。

あと重要なのは、同じだけリソースを持っていたとしても消費の波が変動することはあって(リソースも消費もこの本の用語ではない)、それが常に欠乏側に振れるのか余剰側に振れるのかで困窮具合や行動は大きく変わる。もちろん欠乏側に振れるとよくないのである。授業の宿題を授業の直後にやるか、次の授業の直前にやるか、という例。常に前月の費用を払っているような行動をとっている(フェリックスとオスカーの例)。

欠乏状態になり、トンネルに入ってしまうとそうしてジャグリングに陥る。空中高くに手持ちのものを放り投げて、それがあとになってまた帰ってくるような状態。ショックに備えたスラックを用意しなければならない。常に病院のベッドを1つ空けておくことだな。スラックの話はデマルコの本があった気がする。