焚き火に枯れ枝を放り込むと、炎のそばでピクピクピクピクと苦しんでいるかのように揺れるものがある。不気味に思って見ると、カマキリだった。炎から逃れようとしているのか、たんに風に揺らされているのかわからないが、熱によってその身体はみるみるうちに硬直して収縮していく。それはすぐにカマキリの形をたもったまま真っ黒になってしまった。伝統的な見方でいえば虫なんて生命と物質の中間にすぎないのに、意思や感情をもっているかのように見え、こんなことでいちいちべったりと落ち込んでしまうのである。