できるだけ急いで東京に行かねばならず、高速鉄道だか特急新幹線だか、とにかく何かの新規な交通を使うことになった。駅からは幅1メートル、高さは腰ほどのガラス板が何枚も連なって、これが軌条になっている。なにも分からないままに前の客に倣い、プラットホームからこのガラス板に掴まると、そのまま体が滑り出した。座席も外壁もシートベルトもなしに、みるみるうちにスピードが上がってゆき、手を離したら確実に死ぬ。この軌道がなぜかカーブ続きで内に外に遠心力がかかって振り回され、鋭角にしか見えないヘアピンを幾度か通過するたび、必死にしがみついていた。結局最後は子供たちに混じってジャングルジムを登り、たどり着いた豪邸のような山小屋で休憩を取ることになった。密かに心配していたのだが財布もケータイも落としていなかった。主人が一行に味噌汁を振る舞ってくれ、それと全員の分のリュックサックが用意されていて、これは明日以降必要になるのだと言う。とりあえず皆はここに一晩泊まって、後から遅れてくる者を待つことにした。それは俺だった。