はげしく太った中年女が俺に話しかけたそうな様子でちらちらと見てくるのだが気づかないふりをしてホテルの受付に並んでいた。列が自分の番になり腕輪を買っていると、周囲に励まされてその女が話しかけてくる。数人の友人と一緒に観光旅行に来ているのだということを聞く。買った腕輪は左手首につけられなかったけど右は入った。その後友人の寝泊まりしている酒屋にきたらまたそのおばさんがいて、友人の親戚らしいと知る。さっきはどうも、というような挨拶をしたが向こうは知らんぷりだった。行きは男湯を通ってが帰りは女湯だった。湯船も洗い場もほとんど満員で、皆同じような顔・体つきの女性たちの背中や肩を視界に入れながら、駆けていく。しかし誰も俺のことを気にしていないし、こちらも何ら気にしていなかった。一度曲がる方向を間違えて冷水風呂に行き当たったが、そこはばあさんばかりであった。