男3人で旅をしている最中におれだけが女になってしまう。片方の連れと部屋で話しこんでいて、外に出たときにそいつが手を握ってくるのでおれも握りかえす。その様子をもう一人が見ていて、無言で先に行ってしまう。おれは彼を追いかけて、男だったころからおれはハグとかしたかったんだよ、とボディタッチしながら語りかける。相手の返事はないが、伝わっていそうなことがわかる。

夜、坂道の公衆電話ボックスから火が上がっている。通っている塾の向かいの英語教室の目の前だ。道路が広いからか、すこし洋風の街並みである。往来もあるが誰かが消防に通報した様子はない。仕方なく電話をかけるが、電話口から聞こえてくる声が小さくて話しづらい。看板に書いてある通りの名前を伝えようとするも、暗くて文字が読みづらく、正しく伝えられているかわからない。結果的に、相手が「ああ! あのサイゼリヤのある通りですか」と気づいてくれた。知っているところなんだからなぜその目印に早く気づかなかったのかと少し悔やまれる。坂道を登った先に襖があり、その奥は旅館の一部屋のようになっている。そこに家族がいる。火事を通報したよ、と伝えてひと休みする。母親が外の様子を見てきたようなので襖を開けてみると、炎は建物に燃え移っており、消火活動によるものらしい泡が一面を覆っている。それに絡め取られて何人かが犠牲にもなっていた。