ある女性が、その大切な雑誌を図書館に寄付した。それまでその雑誌は図書館になかったのだ。そうして彼女は嫁入りしていった。それから、ある日、彼女がその雑誌を欲した。それは尤もなことだったから、俺は俺の親友とその雑誌をこっそり取り返すことにした。図書館の内通者により、雑誌のCD-ROMは簡単に手に入れることができたが、問題は本誌の方だった。地下の閉架書庫にあるという。行ってみるとそこは真っ暗で、ほぼ垂直とも言えるほどの土の壁を、綱や木の根を頼りに登っていかなければならない。ところどころに傾斜が緩やかなところがあって、そこでなんとか体を休めることができるのだが、それも2段ほどゆくとバテてしまいそうだった。それでも登っていると、峠を越え、向こう側を見渡すことができた。そこから見える空には、翼長にして、大人二人が両手を広げたくらいの大きさの翼竜が飛び回っていた。それだけでなく、それよりもさらに大きい、その翼竜をひと飲みにしてしまえるくらいの大きさの巨大な翼竜が、本当に翼竜をひと飲みにしながら滑空していた。この光景を見て俺は完全に恐怖してしまって、一刻も早くその場から逃げだしたかったが、そこは親友の手前、言いつかった仕事もあるので、その場から離れる訳にもいかず、ただ、「もし人が襲われているようだったら逃げよう」と提案すると、それは受容されたため少し安堵し、そして目の前で人が襲われているのを目の当たりにすると(食われるのではなく、襲われた人間はどういう訳か翼竜に姿を変えた)、二人して先を争って逃げた。結局、持ち帰ったのはCD-ROMのみ、大名行列中の、例の女性に事の次第を告げると、それでは仕方ありません、と許してくれた。そして遂に翼竜が街にやってくるのであった。目の前で、象に跨った子供が、翼竜に触れようと手を伸ばす。そばにいる父親は制止しようとするのだが、なんせ子供は象の背上、できるはずもなく、子供は食われてしまった。
暗い広い廊下を歩く。誰かいるはずなのだがあまり怖いので、そもそもこんなに怖いところに俺一人でいるのはおかしいと、探索は明日の昼にすべきと判断し、そこを出ると、大学のキャンパスのようなところ、階段のてっぺんでカップルが舌を絡めキスをしている。