実家で朝食を。モチや串を食う。読んでいる本の主人公の少女が隣にいて、母親に、稗田阿礼の話をしている。プライドの高い娘だったが、本ではいい感じに丸くなってハッピーエンドを迎えるはずだ(まだ読み終わってないから分からないけど)。ここでは自分探しに走ってしまったか。豚カツ串を彼女に取ってやった。食事を終え、少女が学校に向かったのを見届けて時計を見ると、11時。飛行機の時間に間に合わないのではないか?と焦り、急ぎ空港へ向かう。今日は大事な、最後の舞台なのだ。空港の入口に仲間の顔を見つける。どうやら間に合ったようだ、とホッとするが、彼によると37分がラストらしい。あと10分しかない上に、俺はチケットも何も用意していない。(彼は来る途中でチケットを買っていたらしい。)さらに悪いことに、財布をどうやら部屋に置き忘れてしまったようで、俺は泣きながら、部屋に戻るのだった。薄暗い部屋から財布と携帯を取り、もう一度空港へ向かう。着いた所が国際ターミナルで、太っちょのお姉さんに国内線への行き方を聞くものの、どうやら俺がフランスに行くと思っているらしく話が噛み合わない。やっとのことで、何とか、分かりづらい地図を見せてもらって、ビル風の強いスラムを抜けて国内線へ急ぐ。もう時間的には間に合わない、俺の最後の大舞台は誰か代打に取って代わられ、折角の誇れる仕事は台無しなのだが、それでも彼の幻影が俺に囁くのだ、来いと。と、道中、コンビニの前に、既に出発したはずの彼の姿が。声をかける。彼の話を聞いていると、どうやらまだ間に合う時間のようなのだ。ホッとして、並んで歩いていると、どうも、彼は事を失敗させたがっているような感じを受けた。調査すると、そういう類いのモノは、人に化け、足元を掬おうとするものらしい。コッソリ自分の足元を見てみると、果たして俺の足は暗闇に沈みこもうとしている。正体見たり、と看破した俺は、ひとり空港へと急ぐのであった。
国王の式典、国王とは「ああ、君か」というような人だったのだけど、その式典の裏側には劇場があって、そこで国王に挑戦される。身に覚えのあることであったからそれを受けることはできたはずなのに、言葉が口から出なかった。