幻想水滸伝2 #9

ついに終局! いつの間にやら都市同盟の優勢になっていて、「勝敗はすでについているのに……」などとおれに呟かせる、そのターニングポイントはどこだったんだろうか? そしてその根本的な要因は何だったのだろう。ティントを仲間にして、グリンヒルを最初に奪還したのだったっけ? なんだか記憶が曖昧だ。これが流されるリーダーの姿である。ハイランドが負けを喫する理由はわかっていて、ジョウイの弱さにつけこまれていたのだ。ミューズではピリカ、ロックアックス城ではナナミを助けるためにジョウイは命令をねじ曲げてしまっている。冷徹にはなりきれなかったのだね。

最終メンバーはヒックス、ザムザ、ゲオルグ、テンガアール、2主、アイリ。あれ、結局前と変わらない面子……。おれはポケモンでもバタフリーをパーティーに入れるような人間だから仕方ない。守りの天蓋を札にして主人公に、あと回復用に料理をたくさん作ってアイリに持たせることにする。あとゲオルグのおっさんにガードリング×3と、武器に旋風の紋章(だったかな?)をつけて厳重な魔法対策をほどこす。ザムザは火封じ火とかげで殴り要因にしてたけど、枠がもったいないので火の上位紋章をつけることにした。

ルルノイエの最終ダンジョンは、倒した兵がその場に倒れていく演出がほんとうによい。ハーンが出てくるのは忘れてたけど、禊を落としにきた感じもある。シード、クルガンはいいコンビだった。いきなり魔法を封じられるとは思っていなかったけど。この2人の直前に回復アイテムでほかほかにしたのだけど、旅の封印球でリセットされてた……。

獣の紋章は評判どおり、わりとあっけなかった……。前脚がけっこう面倒だったような気がするんだけど(状態異常&回復)、紋章と両頭を狙ってたら何か起こされる前に勝ってしまった。天蓋を常に効かせてたのがよかったのだろう。いちどザムザとテンガアールで、偶然火・土の合成魔法が発動したが、狙ってた防御アップはできなかったっぽいぞこれ。

ラスボス後の世界は切ない。サジャの村に行って、上位紋章を買ってみても自分ひとりのパーティである。きな臭い噂話ばかりだし。タキに話しかけると、おばあちゃんの話はこれでおしまいだよ、というようなことを言われるし、ゲオルグリッチモンドも、さてこれからどこへ向かうかねえ、という口ぶり。というかナナミは生き返ってこないわけ。一人で例の峠に向かい、ジョウイと対峙する。戦いはしなかったが、ジョウイの頼みに負け、紋章を譲りうけてしまった。ナナミもジョウイも失った主人公は都市同盟の盟主となり、かつての仲間たちもあるものは去りあるものは残っている。108星全員を集めきったのでその後も見ごたえがある。ミリーはボナパルトのおよめさんを探すため、グラスランドに旅立った。旅が近くにある世界だ。あとでベストエンドを見直す。

邪悪の商店

東京観光に来ていて数日目、友人と会って巡ることにしたので知らない街で待ち合わせる。原付をレンタルして向かっていたのだが、大きな道路の交差点で信号待ちをする間、後ろから来る車の邪魔にならないようにと(あと単純に怖いので)歩道の方に寄ったところ、そこにいた警官に止められる。わかっていたが道交法違反だ。はじめての経験で右も左もわからなかったが、ただ点数? を引かれて終わりなのかと思いきや、どこかの施設で申告をしなくちゃならないらしい。友人に告げると、あーやっちゃったね、という返事とともに距離やら時間やらを計算している様子。どうも、原付を没収されることになるらしい。手続きは電子化されているらしく、その初老の警官の言うことでは、民間の商店に往かなければならないのだが、警官のほうでもよくわかっていないのだった。最初にスーパーに行ったが取り扱っておらず、裏手の小さい店に行く必要があった。

その店は狭苦しくごった返していて、子供が多い。後ろに並んでいる男の子は勝手におれのカバンを漁って、あまつさえ中に入ってこようとするので始末が悪い。全体的に素行の悪い店のようだった。小学校低学年とおぼしき女の子が500円もするお菓子を買おうとしているのを見て、子供にこんなものを売りつけるのはどうかと思う(お金が足りなくて買えなかったようだが)。レジには二人いて、おれの手続きは店長の側でしかできないのだが店長は席を外してしまって、仕方なく帰るまで並んでいる。残りのもう一人の女の店員が口上を述べて何かを売りはじめた。しかしどうも邪悪なものを感じる。カウンターの上には箱の中にゆで卵が並んでいるが、一つは割れて、ヒヨコの脚が出てきている。客たちは気づいていないのか、店員の言葉を聞いているだけで、しまいに殻が破れ、毛のない茹でヒヨコが歩きだしても(なぜ生きているのか!)見向きもしない。しかし店員が「それじゃあ耳かきを使ってみましょう!」と言うと、ヒヨコは客の前に取り上げられ、おぞましい解剖の犠牲になっている。おれはあえて見ないようにしていたが、店員の「あ、飛んじゃいましたね」という言葉に前を見ると、血が目の前まで飛んでいた。

「さっきの老夫婦に工場建設の契約をさせたそうじゃないか」という声がして、店員の悪行がまたひとつ暴かれる。店長が帰ってきたのだ。これでこの事態も終わる、と期待していたが、続く言葉はなく、にやにやと笑う店長も結局グルなのだった。店長と店員はカウンター裏のコンピュータの前に座ってここをこうしたら壊れたなどと仲睦まじく話し込んでいる。ともかくおれは違反の件を進めようと店長の前に立ったが、どうやら列に割り込む形になっていたらしく、後ろの男に呼び止められ、この列は、この店で働きたいと希望する人たちの列だと聞かされる。見るとずらずらと人が並び、最後尾は見えないくらいで、こんな邪悪な所業に加担しようとする人がこんなにいるのかと思う。結局ここでも違反の件は進められなかった。帰ってこの店が売っていたキャットフードの原材料を見ると「猫、尿」とあり、おれは激怒してこれを捨てた。

中坊公平『中坊公平・私の事件簿』

中坊公平・私の事件簿 (集英社新書)

中坊公平・私の事件簿 (集英社新書)

名前は小さいころから知っていたけど、実情はあまり知らんよなこの人のこと、と思って購入。森永ヒ素ミルク事件の弁護団長だったのかー。そもそもこの事件がすごい。こういう事件を起こした会社が、まだ存続しているというのは奇特なことで、怒りや恨みといった感情をぶつける先が残っているのはそれはそれでよいことなんじゃないか、とも思う。短絡的に、いなくなってしまえと思うよりも。泣いた、一方で、『苦海浄土』読みたくもなり、おれはエンターテイメントとして消費しようとしてんのかな。ともあれ、時代のいくつもの事件に関わってきた人だった。現場を重んじる想いは感じるが、正義というものが価値観の中心にあるとかというと、それが一番というわけでもなさそうに感じ、よく分からないところもある。読んでる途中で、住専の回収機構で何かやらかしたらしいことを読んで少し興ざめしてしまった。

幻想水滸伝2 #8

あのあと何があったのか覚えていない。ともあれ108星集めることができた! メイザース、ゲンシュウでフィニッシュ。赦すものの印、回復だけ? と思ったけど残りはダメージなのなら強力。

ロックアックス城で久方ぶりのジョウイとの共戦、そしてこれが最後だろう。ジョウイも四つめの紋章を解除しているのは、108星あつめたのだろうか。ナナミを送ったあとは、城の中が優しい。フッチを除いては……。機能キャラのリッチモンドさんですら優しい。

料理対決の続き。ムクムク・アダリー・モンド・シンという審査員でまったく読めなかった……。一点差で勝ったけど。パスタを入手したがエビが一匹もない。

モクモク、森の村の下のエリアなのね。これでコンプリートです。

北野勇作『かめくん』

かめくん (河出文庫)

かめくん (河出文庫)

前から評判には聞いていて、送料調整の隙を狙ってカートに入れた一品。昔見た書影はあか抜けない感じで(徳間デュアル文庫のものらしい)手が伸びなかったんだけど、届いてみたら雰囲気だいぶ違って、だけど読んでる間はあの眠そうな亀の顔が目に浮かぶのだった。かめくんは人工の模造亀で、周りの人間から見ると本当に思考しているのかそうでないのかも定かではないし本人にすら本当のところはわかっていない。甲羅に蓄積した記憶が思考させているらしいという推測はあるけど記憶はほとんどが封印されているのではっきりとしたところは分からない。そんなかめくんの目から、なにやら戦争をしていたり見知らぬ技術が幅をきかせていたりといった世界がだんだんと描かれていく。世界観はあっさりと明らかにされることもあれば最後まで有耶無耶なままのものもある。人造物の下町風日常、というのはよくて、その背景をまったく語らなかったらおれの好みだったろうな。

ヒルダという名の剣士

長い夢を見た。たくさん寝たし、覚醒したタイミングもよかったのかもしれない。

どこから始めようか。賭けごとの街に来ていたようだった。とは言っても天をつくような高いビルとか、ど派手なライトアップがあるわけではなく、五階建てとか十階建てほどの横長のビルが道路沿いに並んでいるだけで、視界は薄く立つ霧とビルの暗い色の肌でいっぱいだった。歩いている人はほとんどいない。

そのビルのひとつの入口に、同僚と、高校時代の友人と、知らない女性とで並んでいた。おそらくこの中で催しがあるのだろう。女性と同僚とは出身高校が同じだという話題で盛り上がっているようだ。その話を聞いて思い出したが、バスでこの街に着いたとき、一人の男と剣道の試合をしたのだった。もちろんおれは負けたのだが、去り際に「また戦ってください」ということで面目は保った。こう言うことでどんなみじめな敗北もリセットできるのだ。たしかその男の出身校が、ふたりと同じ高校だった気がする。そう伝えると、「ぼくの代だと、もう弱小になってたからなあ」「私のときもそうだったよ」と、やや白けた反応。昔は強豪校だったのだろう。

そんな話をしている間にもスマホの電池は減ってゆく。一度ホテルにチェックインしたくなったと告げてその場を去る。ホテルはそこからでも見える距離にあったが、砂漠の中に立っていた。ホテルに着いてから肝心のスマホを忘れたことに気づいて、届けてもらった。部屋で一人になったのでオナニーの準備をしている間に、時刻は午前一時とか二時になっている。妻を迎えに行かねばと思い、赴くも、ポーカーか何かに興じているようでまだ帰る時間でもないようだった。

そしてオークがホビットたちの根城を侵略しようとしているという話を聞く。積極的に加勢しようとしたつもりはなかったが、今いるところがホビットたちの巣なのだった。準備をする間に勤務先に顔を出すと、一人に「ホビットドワーフたちを住処から追い出したときの話を知っていますか」と訊かれた。知らないが、おれは知ったかぶりをして、「フェローシップオブザリングより前の話だっけ?」と返した。オークはトンネルの中をゆっくりと進軍し、ホビットを捕らえては盾代わりにして弓矢の狙いをそらしている。オークが蛇をふたつにちょん切ってホビットたちの集団に投げ入れると、一人がそれに咬まれ、(毒を)吸って吸ってと大騒ぎをする。近くで見ると、ホビットというか子供たちの集団というほうが正しそうだった。蛇は側面の波の模様が大きくうねっていて、茶色の中にところどころオレンジ色の斑点があるのでこれはシマヘビだ[あとで調べたところ、少なくともシマヘビではない]、毒性はないよといってなだめようとするが、子供たちは大急ぎで逃げていってしまった。

子供たちの居なくなった通路を、オークの隊長格がのしのしと近づいてくる。おれの手元には東急ハンズで買ったらしいまだビニールのついたままのメイスが一本、それに一斗缶があるのみだ。と、ひとつ向こうの通路にいて姿の見えなかったヒルダという名の女剣士が、隊長の前に身を現した。「メイス使うか?」と背中から声をかけるが、「いらない。これがあるから」と左手に持った武器を見せる。根本で折れた大剣だった。ナイフほどのリーチしかなさそうだ。女剣士はたった一人で、二倍も大きさのあるオークに立ち向かおうというのだ。「つくづく、ヒルダって名前の剣士には縁がある」おれはそうつぶやくと[幻想水滸伝2のキャラクターを想定していたが、それはアニタだった。ヒルダは宿屋の女主人だ]メイスの先に一斗缶を取りつけた簡易な武器を手にして飛びだした。ヒルダと切り結んだオーク隊長の背中から、後頭部を何度も強打する。そうしているうちにオークがゆっくりとこちらを向き、歩いてくる……と、今度はヒルダが背中からオークを攻撃し、オークはバランスを失って地面に倒れこむ。すかさずヒルダが抑えつけ、おれは一斗缶メイスでふたたび殴打する! 一斗缶ははじめこそ軽くて頼りなかったが、殴打を続けるうちに少しずつ重みが増して強力になっていった。中にオークの血が溜まっていたのかもしれない。オークの抵抗が鈍り、制したかと思っていたとき、奥から隠れていた小さいオークが飛びかかり、ヒルダに覆いかぶさる。おれもすかさずメイスを振りかざし、隊長と交互に殴りつけた。「最終だ! 最終だ!」アニメか漫画で知ったとどめの言葉を叫びながら。いつの間にかオークとヒルダの位置が入れ替わっていたが、三度ほど殴ったあとで気がついた。

ヒルダは二匹のオークを武装解除すると、帰りな、と告げて解放した。こいつらをどう始末するのか、と考えていたおれは驚いた。「また来たら、戦えばいいさ。あんたも加勢してくれるんだろ?」ヒルダはそう言ってにやりと笑った。おれはもう帰りたかったが、その言葉には頷くしかなかった。しかし何もなしに帰すわけにはいかないだろう、子供たちの喜びそうなものを残していけよ、と、おれは小さいオークに言った。オークは駄菓子屋でボンタンアメやヘリコプターのおもちゃを買って置いていった。隊長のほうはとっくに逃げ去っていた。

夜の街を、ヒルダをおぶって歩いている。「さっき私をぶっただろ」「三回で止めたじゃないか」なんて話をしながら。「のどかわいた」とヒルダが小さな声で言う。「おいおい、随分としおらしいじゃないか」「周りに誰もいないからね」近くのコンビニに寄って、何か飲み物をあさることにした。棚にニンニクトマトスープなる特別な商品が乗っているのを見て、ヒルダはこれにすると決めた。おれも興味があったが、普通のフルーツジュースにした。スープは少し分けてもらえばいいのだ。

翌朝の町を歩いていると、4D結婚式というのをやっていた。路地の後ろから集団が歌いながら行進し、同じく歌う新郎新婦と合流する。やがて大きな道に出ると、子どもたちが等間隔に並んでいるのだ。行進の一種だが、本人たちは何をしているのかよくわかっていないので好き勝手に喋っている。コーラスの声はいまも空に響いていて、美しかった。

ベン・ホロウィッツ『HARD THINGS』

HARD THINGS

HARD THINGS

なんか偉人の名というか、インターネットやソフトウェアの歴史というものを皆目知らないで生きてきたわけですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? ネットスケープとか、IE に駆逐されるダサいブラウザだと思ってたウィンドウズネイティブ世代だよ。技術にしろビジネスにしろ、おれから見ると想像もできないような能力をそなえた巨人にみえるわけだけど、そんな人間ですら七転八倒してきたさまを見せつけられる。こうやれば上手くいく、という綺麗な理論の話ではなく、こんなにうまく行かなかったが何とか乗りきった、という話。結局失敗をどうリカバリーするか、胆力で、という話なんだろう。すごい。あくまで個別の具体的な話。同じ苦境に陥ったひとをなぐさめ、勇気づけるものなんだろうか。この起業と苦闘のエピソードがまるまる一冊続くのかと思っていたが、あっさりと終わり、途中からアドバイス編になっている。

Kindle で読んだので、引用がしやすい(今さら気がついた)。

自分を評価して、「不可」を付けたところで慰めにもならない。

自分の惨めさを念入りに説明するために使うすべての心的エネルギーは、CEOが今の惨状から抜け出すため、一見不可能な方法を探すために使うほうがはるかに得策だ。やればよかったと思うことには一切時間を使わず、すべての時間をこれからきみがするかもしれないことに集中しろ。結局は、誰も気にしないんだから。CEOはひたすら会社を経営するしかない。

他人がやったことを見て判断する観客は、彼がどう感じたかを知らない。

そのほか:

  • バークレーが自由で開放的な雰囲気だという話が出ていた。読みさしの『カッコウはコンピュータに卵を産む』でもそんな話があったような気が(下巻がどっかいってて続きを読めない)。
  • 社長とCEOが同時に存在するエピソードがあったが、違いがわからない。