それでも人間には格や序列があるんだよ。日本ではそれを結婚式や葬式で可視化することになっていた。誰にも顧みられることのなかった人間と、皆に慕われ好かれていた人間と、その他大勢のその中間。今この地獄のレースに退職ブログという新星が参加している。おめでとうございます! だの(あと思いつかない)だの口々の言葉をえええ指先でたおやかに紡いで作った花束の、より大きな方を受け取った方の勝ち。立派な人生の勲章、また思い出して旨い酒を飲むための。老人ホームを取材したテレビ番組を観た。老人は手拍子を打ちながら歌を歌っている。おれたちは老人ホームに入ったときにどんなアンプラグドな手遊びを覚えているだろうか? そんなことを考えていたらコロナに罹ってしまった。私はコロナだ。いや因果が逆。コロナは私だ。熱があるからそんなことを考えてるのだろ。頭の中で短歌をずっとこねくり回して全然洗練させられないでいる。けどこんな遊びは楽しい。ぱっと手放して眠りに入ることも許されている。

朝四時に目覚めるどんな結末になっているのか恐ろしくって    水無