さまざまなチャンスが巡り合って映画を観る。3時間の大作ということは知っていたので飲み物なしで観たおかげで尿意によるインタラプトを回避できた。ポスターのビジュアルから、二人の男の話なのだと思いこんでいたけどこれは喜久雄の一代記だったのだね。そういう風に気づいたのは最後になってからだった。親を失くしたうえ、血がものをいう世界にあっては、もはや芸に生きるしかなかった男の一代記。ライバルである俊介との仲が険悪ではないのがよかった。もらわれてきたときから一体どんな衝突があるのかとハラハラしていたけどまさに屈託のない仲であり、この関係がベースだからこそ紆余曲折があっても精神的にはまた帰ってこれるのだろう。曽根崎心中をおれは知らないが、俊介お初の足にすがりつく喜久雄徳兵衛のシーンは、よかったね。歌舞伎も物語なのだから、劇中劇もあるってもんだ。
それにしてもおれはずっと二人の区別がつかなくって、名前も分からなくなるし(なので調べてあえて書いてるのだが)、「このシーンでこういう言動をしてるのならこっちのほうだろう」と推測しながら見てるので、ふつうの観客と比べるとずいぶん純度の低い見方をさせられてるんだろうなあ、と思う。事前に公式サイトとか見といたほうがいいね。けどみんなわかるんだろうか。たった数時間で名前と顔が一致する?



