そこはかとない敗北感に苛まれている。人の上に君臨するものとして、人間を勇気づけ、かれらの課題を理解して、先々を示す、そういう姿が求められているはずなのに、言葉は空虚。そう、空虚な言葉だけが、おれと人間との間にある。今日も現実を分かっていないまま、その場を取りつくろうためだけの、口先だけの発言をする。言葉に裏付けはなく、自信がないのでおなじフレーズを繰り返す。死ななかったというだけの意味で生き残っただけなのに、不当な扱いをうけている。このままやっていけるはずはないので、脱出の方法を考えていかないといけない。にょえーん。抽象的でカッコつけたことを書いてるが、ただ無能ってだけだよもん。ぬるく生きていて絵。

同僚と退勤後に飲もうという話になる。一度それぞれ帰宅してから、これこれの場所に集まること、と決まっていて、すでに日もとっぷりと暮れた中を電車で帰る。帰る先は、15年も前に住んでいた家の最寄り駅。しかし隣の男と確認してみると、そこから飲みの会場にまた向かうには少なく見積もっても1時間はかかる。だいたい会の始まるのが午前1時の計画だったから、これは再び家に戻るのは無理だろうと思って、主催者に不参加というか延期を申し入れる。かれも今日のこの時間に特にこだわりはなかったようで、円満に流れた。

洗い役(?)として女湯に入る! なぜか合法的にそういう役回りを拝受している。脱衣場にはすでに全裸のおれとおれのパートナー(おれは彼女の庇護下にある)だけがいる。周囲にほかの女性もいるような気配こそするものの、姿は見えていない。いよいよパートナーが浴場の戸を開けようとするが、セキュリティのためかとてつもなく長い問答をこなさなければならないようで、交わされる内容も巻物じみていて理解できず、犬のように待っている。

寝不足で目を覚ますと朝のあいだ動悸がして不快に思っていたけれど、7時間近く寝てもこうなのでこれはただ勤務したくないだけではないか? と訝しむ。冒険がしたい気分でもなかったから、今年初のランチはいつもの蕎麦屋だった。一人で来店すると、席に座るときに必ず何かしらの新聞を置いてくれるのだけど、読んだことはない。据え付けられたテレビではいつもワイドショーをやっている。そこで蕎麦を食いながら本を読んだり、ノートに何か書きつけたりするのが気晴らしになっている。そのような退避場所としてうまいコーヒー屋があったんだけど、畳んでしまった。ここの蕎麦がとても美味いというわけでもないので、また代替を求めてぶらついてみてもいいのかもしれない。ただ店の雰囲気は落ち着く。厨房は見えないが給仕はおばさん……女性ばかりの店で、家族でやっているみたい。ときどき子供がテーブルで本を読んでいたり、店の人もまかないを食べていたりして、混んでもいないし、気楽ではある。居座れるのは重要。

2020年のテーマは集中と定形化。近年は注意散漫なことが多すぎた。整理しないままのあれこれを能力の限界まで詰め込んだ結果、意識がちりぢりになって何もできていないし、単純に疲れている。些末なことを定形化しきれていないので、日々の摂動が大きくなっていることも、それに拍車をかけていると思える。なので集中と定形化なのです。つまり:

  • 会議中に内職しない。
  • 歩きスマホをやめる。
  • 残業しない。

ショボいのはいいとして、これは回避的な目標だなあ。

  • 人の話をちゃんと聞く。目を見る。
  • 景色を見る。音を聞く。
  • さっさと帰る。

残業するのは、仕事の時間が終わってから、やれやれ、仕事をするかという思考になっているから。創造的か非定形的で、すぐには終わりの見えない仕事をするとき、まとまって空いた時間が欲しくなるんだよなあ。その時間が取れない理由はほぼ明らかで、わざわざ時間を取って、何かを完遂させられる自信がないからだ。自分の性向からすると、単に慣れの問題であろうとも思える。

あとはマネジメントをぶっつぶす。退路を確保しておく。

QJKJQ

QJKJQ (講談社文庫)

QJKJQ (講談社文庫)

★★★。今年の古本で買った1/1。乱歩賞。どちらも詳しくはないのだけれど、メフィスト賞でもよさそうなお話である。ミステリというよりは、探偵小説といったほうがしっくりくるように思う。猟奇殺人鬼一家の娘が、消えた兄の死体と母親の謎を解く。少なくとも解こうとする。娘を除くと家に残ったのは父親だけで、この事態にのらりくらりとしているし、意味深なことを言うし、いかにも怪しい。設定は奇妙だけど、全体のお話の流れとしては意外とシンプルで、メタファーやモチーフみたいなものも、あまり包み隠さず提示されている印象がある。例えば……地下室の死体とか。監視カメラとか。無駄な装飾がないと言ってもいいのかもしれない。QJKJQの意味はよく分かんないんだけどね。かなり最初のほうから匂わせてるとおり、兄も殺人一家も少女の妄想であったということが物語の中盤でわかり、そこから先はこの父親は誰なのか? 私は誰なのか? というのがテーマになる。この転回自体は珍しくないと評にはあったようで、そういう気もするけれど、具体的に何か名前を挙げられはしないなー。亜李亜の三日間にわたる探偵の道のりであるし、クライマックスでは血を見るような戦いもあり、グロテスクな物語でもなくて、ストレートな冒険譚のように受けとれる。

2016年 第62回 江戸川乱歩賞|日本推理作家協会

もう一昨日のことなんだけど、さっそく何だか落ちこんでしまった。だいたい、その前の日からして、つまり元日だけど、テーブルゲームで全然勝てなかったことがかすかに尾を引いていた。テーブルゲームって何か、頭のいい人は上手い、という強迫観念に近い印象があり、逆にこれで上手く立ち回れないと、自分の頭が良くないということを確認させられているようで、気分がどんどん沈んでいくのが常である。運のからまない、一対一の勝負はとくにそうで、あまり考えすぎても間抜けだし、ということなのか、たんに頭脳の忍耐力がなくなったのか、考えを放棄して適当な手をうつとあれよあれよという間にやられてしまう。これはまあ、頭がわるいと言われてもしようのないことですね。それで二日。去年に引きつづき、本屋で古本を漁ろうとしていたわけですが。今年はどうもまだはじまった気分になれていないし、あえての自己啓発本を選ぶ気にもなれず、あまりいい本に出会えなかったのだが、さまよっているうち、本棚でおれが心底嫌っている人間の本を見つけてしまった。新しい本である。そいつは……こと細かに書こうかと思ったけどそれもシャクなのでやめておく。一応さっと目を通して、とるに足らないものだと分かりはしたものの、それでも出会ってしまったこの事実が鈍く心を刺している。それからよく寝た。

2019年をよかったasinで振り返る

なんと10周年です。これはなかなかすごいことではないの。 (その年のうちに投稿できなかったのははじめて。)近年ではおれのことを知ってる人もめっきり少なくなったようであるが、おれもまだまだ、捨てたもんじゃないねえ。というか、捨てるに値しないね。それに、お前たちがおれのことを知ってるかどうかなんてほんとうはどうでもいことである。

ワールドトリガー

ワールドトリガー 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ワールドトリガー 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

まずはこれかな。こまごまと言及はしてるものの、連載マンガはまとまった感想を置きづらくて、書きそびれることが多いんだけど、ワールドトリガーはまとめて読んだのでその類。もともとジャンプ+のキャンペーンで大規模侵攻が終わったとこまで? 読んでて、うーん、評判いいけどこれそんなにか……? と思ってたところに、Kindleでまとめて半額になってたので改めて読んでみたところ、世界観・用語・システムがわかると一気に面白さが増して、最初のブラックトリガー争奪戦もおおこいつがこんなところで! と発見が多くて気に入ってしまった。一種の、敵味方の共闘が見られるわけである。忍田本部長の「私が出る」は管理職がそんなことするなとツッコミを入れながらも旋空弧月のかっこよさに惚れずにはいられない。例によって女子の人気が高いのもよい。栄養のないときにはpixivでWTログみたいなやつを読めばいいのだから。

武器としての交渉思考

武器としての交渉思考 (星海社新書)

武器としての交渉思考 (星海社新書)

http://kejinan.hatenadiary.com/entry/2019/01/08/083738

内容がどうこうというよりはむしろ著者の想いのようなもので一票。今年亡くなったのではなかったか。

あせとせっけん・モブ子の恋

あせとせっけん(1) (モーニングコミックス)

あせとせっけん(1) (モーニングコミックス)

日記でも何度か言及してる。おれの中ではセットになってるサプリメント。恋は特別! もうただそれだけ。どちらもいい人しか出てこないのも重要なポイントっぽい。気が滅入ることが分かっているときに先手を打って購入することになっていた。

この世界の片隅に

http://kejinan.hatenadiary.com/entry/2019/07/28/161411

Netflix。ほんとは上映中に行くつもりだったけど行けなかったんだよな。戦争、もはやおれにとってはファンタジーなのだけど、畑や、町で被害を受けるシーンはリアルな想像に迫るものがある。……と思う。思えば、この映画には空間の広さ、空いている領域、みたいなものがあるのだと思う。戦争と戦争の合間であるとか。

ICHIGAIN

8803net.wixsite.com

http://kejinan.hatenadiary.com/entry/2019/07/27/142145

もはやASINどころか作品でもないよ! でもな…でもな!

Chaos;Child

kejinan.hatenadiary.com

もうこちらに書いたとおりで。

フロリダ・プロジェクト

これもこちらに書いたとおりで。マイベスト10に入れたいくらいの映像作品だったとおもう。


2019年も知の貧困でしたね(2)。今年はどうしていくべきかなあ。もっと物語を読みたいし、物語じゃなくていいので書きたい。

そして年末を迎えたので http://kejinan.hatenadiary.com/entry/2019/02/21/102518 に回答してゆく。おれは少なくとも死にはしなかったぞと。

  • 年号は何になった?
    • 令和。
  • いまおれが抱えてる問題はどうなった?
    • 恐れていたことはなにもなく、ただ完治することのない傷が新しい皮膚の下に埋没していっただけ。いつか、何かあるのかもしれないけれど
  • 墓はどこに、いくつ立つ?
    • これどういう意味でしょうか? 墓は立ちませんでした。
  • エロ小説は進んでいる?
    • 予想はいいとこ行ってた。3つで止まった。
  • 宇宙的善は果たせた?
    • いいえ。
  • 金と名声は稼げた?
    • いいえ。
  • 精神世界は構築できた?
    • いいえ。
  • いまどこにいる?
    • あなたの後ろに。
  • いま何考えてる?
    • ワールドフリッパーをどう効率よく回せるか、次に熱中できるものをどうしたら発見できるのか/たんに熱中できるのか、どうしてMacbookのキーボードはこんなにもクソなのか。
  • 目下の問題はなに?
    • おれに未来を描く能力がないこと、センドウする能力がないこと、政治的能力がないこと、一部の抽象的なこと以外に興味と能力がないこと、とくに人間関係を改善する能力とやる気がないこと。

また2月の頭にでも同じような質問集を作ってみよう。

2019

元日くらい酒を飲んでもいいだろうとノンビリしていたらこの時間になっていて慌てて日記を書こうとする。大晦日に書けなかったのでなおさら。

まだ新年を迎えたという気分にはなれていない。それはたぶん年末2355を見そびれたせいだろうと思う……。それがショックで、不必要にイライラした気分で新年の眠りについてしまったのだった。ま、録画した紅白のKISSを観てたらだんだん和らいできたけど。

今年の最初の一冊目をまた決めていなくて、きのう慌てて探しだしたのが、Kindleに入ってた『Bird by Bird』。今年はまだはじまった感じがしていないのだけど、その気持ちになったら書くことをテーマにしてもいいかもしれない。思うのはおれの生活についておれは赤裸々には書けないだろうよということ。そしてMacbookのキーボードがクソすぎて何を書くこともAppleは許してくれないだろうよということだ。